しかも、政倫審は、出席議員の釈明などを踏まえてその議員の登院自粛、国会役職辞任などは勧告できるが、法的拘束力はない。加えて、議員辞職勧告はできない決まり。さらに、「審査会は傍聴を許さない」との規定から非公開が原則で、申し出た議員の要望などがあった場合だけ公開となるなど、様々な縛りがある。
歴史を振り返ると、衆院政倫審は1985年に設置されて以降、開催されたのは9回。このうち、議員本人の「申し出」が8回で、委員の「申し立て」は1回だけ。一方で、参院では、政倫審の開催例はない。
これまでの最後の政倫審開催は2006年2月23日に遡る。政治問題にまで発展した耐震強度偽装事件に関し、当時の伊藤公介・自民党議員の「申し出」を受けての開催だった。この審査会はメディアにも公開され、問題があった不動産業者社長と国土交通省の担当課長を引き合わせた伊藤氏が「政治倫理に反していない」などと弁明した。
「申し立て」開催は鳩山氏欠席で“空振り”に
一方、政倫審の「申し立て」での開催は、2009年7月17日に当時の民主党・鳩山由紀夫代表(その後首相に就任)の資金管理団体の政治資金収支報告書に、死亡者などからの献金が記載されていた問題で決められた。しかし鳩山氏本人が欠席し“空振り”に終わった。
そもそも、国会議員に疑惑や問題が生じた際、国会で説明を求める場は「政倫審」以外に「参考人招致」がある。参考人は、質疑者の要求、または理事の協議により、委員会の議決を経て委員長が招致し、出席、答弁を求めるものだが、対象議員への強制力はない。
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