召集から1カ月を目前に、政治改革国会は2024年度予算案の衆院通過をにらんだ与野党攻防が大きなヤマ場を迎えた。巨額裏金事件の真相解明に向け、与野党は当面、衆参両院の政治倫理審査会での関係議員の「説明」に焦点を絞り、人選や公開の是非など具体的運営をめぐってつばぜり合いを展開している。
そうした中、衆院では22日に自民党内の調整を踏まえて、安倍、二階両派の事務総長経験者5氏が政倫審出席を「申し出」たことで、事態は大きく進展。野党側も「一定の前進」と受け止め、週明けの26日以降の政倫審開催と衆院予算委の日程協議を本格化させた。
その結果、22日昼までに①26日に衆院予算委集中審議②28・29日に政倫審開催③29日に予算委中央公聴会――という日程が固まった。自民党はこれを前提に3月1日の予算委締めくくり質疑・採決を経ての予算案衆院通過で、同予算の年度内成立確定を目指す。これが実現すれば裏金事件の国会での解明作業は「事実上の幕引き」となる可能性も出てくる。
立憲、「予算人質」批判と維新と自民の連携を恐れ譲歩
もちろん立憲民主などは「政倫審はあくまで事件解明の第1歩。内容次第で参考人招致や証人喚問につながる」とする一方、自民の「線引き」で除外された二階俊博元幹事長や萩生田光一前政調会長ら「巨額不記載議員」の政倫審出席や、安倍派の「裏金システム」を主導したとされる森喜朗元首相の国会参考人招致などを要求する構えだ。
ただ、立憲も「予算の年度内成立を阻止すれば、能登半島地震の救済措置も遅れて、国民の批判を受ける」との判断から、とりあえず自民提案を受け入れた格好だ。その裏側で、日本維新の会が自民党と連携する構えをみせるなど、野党陣営の足並みの乱れも攻防の構図を変質、複雑化させたのも事実だ。
このため、今後の立憲などの裏金事件での政権追及は、「国民世論の行方次第の“風任せ”という状態」(共産党幹部)になるとの厳しい見方も出始めている。
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