協議後、立憲民主の寺田学・野党筆頭幹事は記者団に「51人全員に来てもらうのが大事」と述べる一方、「(両派の)責任者は必ず出向いて弁明をするべきだ」とも語り、5人衆や二階氏ら両派幹部の出席を重視する考えをにじませた。また与党の公明党幹事も、「対象議員は政倫審を開いて説明責任を果たすべきだ」と野党側に同調する態度を示した。
そもそも、政倫審の開催は、議員自らが弁明を申し出るか、委員の3分の1以上の提案が必要。しかし、衆院政倫審の野党委員は3分の1に達せず、自民議員が申し出るか、与党が提案に加わらないと開催できないのが現状だ。
自民は対象議員の自主的申し出での開催を目指す。しかし、安倍派5人衆らは「拒むものではない」(萩生田光一前政調会長)などと出席拒否はしないものの、明確な条件設定を求めている。また、二階氏の事務所は16日、取材メディアに対し「仮定の質問には回答を控える。法令などにのっとり対応する」と紋切り型の応答に留めた。
さらに、与党側は政倫審の開催時期について、予算案衆院通過を見込む3月初旬後の同月上旬を想定しているが、野党は予算審議を盾にしつつ、衆院通過前の開催を求めているため、週明けからの与野党協議は、「時間との勝負というぎりぎりの攻防」(自民国対)となるのは確実だ。
法的拘束力なく、「議員辞職勧告」はできない政倫審
そもそも、政倫審は衆議院と参議院にそれぞれ設置され、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的・道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関。今回政倫審の開催が決まれば、2009年以来、15年ぶりとなる。
また、現在の衆院政倫審委員は25人で、①その3分の1を超える9人以上の委員からの「申し立て」②疑惑を受けたとする議員本人の「申し出」―のいずれかで審査会が開催される仕組み。ただ、現在25人の委員のうち野党は8人のため、「与党が同調しないと限り開催できない」のが実態だ。
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