名鉄三河線「海線」廃止区間、車社会でどう変貌? 代替バスの運転経路とは異なる人の流れも

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ふれんどバスも同じ統計では、ここ10年間は年間30万人程度を輸送していた。1日当たりにすると800人強。しかしコロナ禍による外出自粛により利用客の激減があり、さらには少子化に伴う高校生の減少の影響からは免れられない。今後、どこまで回復できるか。

西尾市 六万石くるりんバス
西尾市のコミュニティバス「六万石くるりんバス」(筆者撮影)

バスは平野部を淡々と走る

その気になって見れば駅の面影が残る平坂港前から、10時23分発ふれんどバスで吉良吉田へ向かう。途中、1、2人が乗り降りしたが、ほぼ空のまま走る。沿線はずっと平野が続く。こういう地形だと、自家用車のみならず自転車、あるいはミニバイクなども公共交通機関の利用客を奪うものだ。

一色高等学校西バス停を過ぎ、旧一色町の中心部に入る。幹線道路から脇道にそれた一色町公民館バス停が、バスターミナルの機能を果たしている。

ここには名鉄東部交通の西尾市民病院―西尾駅―一色公民館―一色さかな広場間の路線バスも乗り入れ。30~1時間に1本程度の便があり、西尾駅方面へのショートカット路線となっている。ふれんどバスとの接続が良い場合もあるが、特に深くは考慮されていない模様だ。

吉良吉田駅には10時43分に到着。碧南駅からの所要時間は40分前後である。駅付近の道路が狭隘なため、到着するふれんどバスは、ぐるりと回って駅舎のすぐ前に停まる。

しかし碧南駅行きの乗り場は少し離れている。電車とバスの接続は悪くない。名鉄西尾線西尾方面行きは、名鉄名古屋、弥富へ直通する急行が30分間隔で運転されるのが基本だ。

なお、名鉄が発行する交通系ICカードmanacaで、ふれんどバスと名鉄の電車を乗り継ぐ場合も、他の名鉄バス路線と同じく80円が割り引かれる、乗継割引の制度がある。コミュニティバスながらも名鉄バスが受託している効用の1つである。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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