ホンダ「WaPOCHI」は令和の「aibo」になるか? AIならぬCI搭載の可愛い相棒が寄り添う世界

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WaPOCHIが開発された背景には、「ホンダ2030ビジョン」で掲げている「いつでも、どこでも、どこへでも、人とモノの移動を」という考え方がある。「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」という、企業としての思想だ。

そのうえで、ホンダは交通事故ゼロとストレスフリーを一人ひとりが実感できる社会を目指すとし、協調人工知能(CI)を用いた、低速走行型の知能化モビリティの研究開発を進めている。

今回の取材時のプレゼンの様子。後方は後述する2人乗りの「Honda CI-MEV」(筆者撮影)
今回の取材会でのプレゼンの様子。後方は後述する2人乗りの「Honda CI-MEV」(筆者撮影)

WaPOCHI開発では、主に高齢者を念頭に置いている。最大30kgまでの荷物を積むことができるため、買い物や散歩の際の歩行支援という考え方だ。CIによって、人とロボットが自然にコミュニケーションをとりながら、普段の生活を充実させようというわけである。

WaPOCHI実証試験の場所は、茨城県常総市(じょうそうし)に開業した、複合施設「常総市アグリサイエンスバレー」。ホンダは2022年11月から市内の専用施設で技術実証実験を行ってきたが、2024年2月からは常総市アグリサイエンスバレー内で一般向けの実証実験を始める。

まずは、イチゴ狩りが楽しめる観光農園から実証をはじめ、2030年の社会実装に向けて利用エリアを段階的に拡大していく予定だ。

すでに「人とロボットの共存」はできている

こうした、いわゆる「サービスロボット」は、屋内の警備作業や清掃作業、また飲食店での配膳用として普及している。

いずれも自動走行しているが、走行速度が低いことから公道を走行するロボットや自動運転車と比べると、周囲の状況を把握するためのセンサーの種類や数は少ない。それでも、目立った事故は報告されておらず、すでに人とサービスロボットが共存できているといえる。

そのほか、国がいう「歩道走行ロボット」は、実用化に向けて多様な事業者が市場参入を試みているところだ。2023年4月1日に自動走行で商品や食品をデリバリーする遠隔操作型小型車について、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)が施工されたためである。

2023年7月に試乗したZMPの遠隔操作型小型車「RakuRo(ラクロ)」(筆者撮影)
2023年7月に試乗したZMPの遠隔操作型小型車「RakuRo(ラクロ)」(筆者撮影)

WaPOCHIは、こうしたサービスロボットの進化系ともいえる存在で、人と自然言語によるコミュニケーションができるというものだ。

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