ホンダ「WaPOCHI」は令和の「aibo」になるか? AIならぬCI搭載の可愛い相棒が寄り添う世界

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実証実験では、スマートウォッチのように腕につけるタイプの音声コマンダー、または車内のタッチパネルでの音声認識によって、ユーザーはCiKoMaに要望を伝える。

CiKoMAを操作するコマンダー(筆者撮影)
CiKoMaを操作するコマンダー(筆者撮影)

途中で行く場所や迎えにきてほしい場所を変更しても、CiKoMaはユーザーとコミュニケーションを取りながら、臨機応変に対応してくれる。例えば、カフェ前にきてほしいと要望していたが、その少し前で手を振って「ここで止まって、乗せて」と伝えるとそこに停車する、といったぐあいだ。

常総市アグリサイエンスバレー内では、安全監視員が同乗する自動運転レベル2の走行が行われており、すでに2023年10月から歩行者・自転車との混合空間である「歩車共存エリア」での自動運転と、一般車両との譲り合いによる交差点の自動通過を実現している。

2024年2月からは、常総市アグリサイエンスバレー内の約850mの区間で、来場者の乗車体験も開始した。走行速度は、「電動車いす」や歩道走行が可能な電動キックボードと同じ最大時速6kmだ。

BOOK CAFEの先で手をあげ、CiKoMAに停車の指示を出している様子(筆者撮影)
BOOK CAFEの先で手をあげ、CiKoMaに停車の指示を出している様子(筆者撮影)

今後、2024年中には遠隔監視システムを確立し、関係省庁との許可交渉を経て、2025年中に「自動運転レベル4相当の無人自動走行」の実現を目指す。

気になるのは、道路交通法や道路運送車両法などへの対応、また規格の標準化などの点だが、現時点でホンダ関係者は「常総市を含めて、関係各省庁とは今後も密に意見交換を重ねていく」と言うにとどめた。また、工場内の作業用や農業用などでの応用も考えられるとしている。

お話を聞いた本田技術研究所 先進技術研究所 知能化領域 エグゼクティブチーフエンジニアの安井裕司氏(筆者撮影)
お話を聞いた本田技術研究所 先進技術研究所 知能化領域 エグゼクティブチーフエンジニアの安井裕司氏(筆者撮影)

人々の生活に寄り添うロボットの可能性

ホンダは、乗用車の「レジェンド」で市販化した、高精度3次元地図を使う自動運転レベル3や、アメリカのベンチャー企業、クルーズとの共同開発で2026年から都内で実証試験を行う予定の「自動運転レベル4ロボタクシー」に加えて、WaPOCHIとCiKoMaを用いた低速移動型モビリティが社会環境に応じて共存する世界感を持っている。

人々の生活に寄り添う可能性がある、ホンダのマイクロモビリティたちの行く末を今後も暖かく見守っていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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