実際にWaPOCHIと接してみると、便利さや将来性を感じる一方で、今後の課題も見えてきた。もっとも強く感じたのは、実用化にあたって「同じ空間で何台のWaPOCHIが行き交うことがベターか?」という点だ。
技術的には相当数が共存できるとしても、「WaPOCHIだらけ」になってしまうと場の雰囲気が人間社会とは乖離してしまうように、人は感じるのではないだろうか。
もちろん、将来的にはWaPOCHIが小型化される可能性はあるとしても、ワンちゃんや猫ちゃんたちとWaPOCHIが同じように動き回る環境が、果たして人にとって幸せなのかは確信できない。
また、サービスモデルとしては施設内での予約制の時間貸も考えられるだろうが、家族の一員として自宅にWaPOCHIがいるようになると、外出時にいつでもどこでもWaPOCHIと過ごしたくなるかもしれない。
ホンダとしては、そうした来るべき社会の現実について、これから常総市で行う長期の実証実験の結果を踏まえ、現実的なサービスモデルを構築することになるだろう。
小さな乗り物「CiKoMa:サイコマ」
WaPOCHIと同時に、ホンダが常総市アグリサイエンスバレーで長期実証試験を行うのが、自動走行する搭乗型マイクロモビリティの「CiKoMa(サイコマ)」だ。
CiKoMAは、ホンダのCI技術を使った小型モビリティの総称で、今回試乗体験したのは、前後2列4人乗りのゴルフカートのような乗り物だった。
2024年夏にはジャパンモビリティショー2023でホンダが出展した2人乗りの「CI-MEV」も導入して、実証実験を行う予定となっている。
そのほか、1人乗りを含めて、ユースケースに応じてさまざまなボディ形状をホンダは考案中。いずれも、ホンダが開発して、ヤマハなど2輪車メーカー各社の連携で普及を目指す、脱着式小型バッテリー「モバイルパワーパック(MPP)」を使うBEV(バッテリー電気自動車)である。
CiKoMaの特徴は、高精度な地図情報なしにカメラとAI技術を組み合わせて自動走行を実現している点にある。カメラをベースとして高速に空間を認識することと、認識による行動計画を連携させて移動する仕組みだ。
ホンダは、低速走行では高精度な地図や衛星測位システムを併用しなくても、安全な自動運転が可能だとする。
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