「沢田研二75歳」変化ではなく進化する男の凄み ツアー千秋楽を改めて見て思うジュリーの魅力

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また、ジュリーはなんと虎の着ぐるみで第1部を通している。違和感が大きいが、ここをスーツでキメると客席も舞台も泣いちゃうからという配慮(?)からかもしれない。現にそんな格好をしていてもジュリー自身が時折こみあげているのがわかる。本当に感無量だったのだろう。

なお、タイガースはもう1人、加橋かつみ(トッポ、ギター&ヴォーカル)を含む5人組。揃わないと「ザ・タイガース」を名乗らないのはファンならばご存知だろう。1982年には加橋の後任だった岸部四郎(シロー、ギター)も含めた5人で活動したが、瞳が芸能界と距離を置いており不参加だったことから、欠席者ありということで「同窓会」と銘打っていた。

タイガース「再結成」ではない

今回も沢田とゲスト3名という表記。トッポがリード・ヴォーカルを担当していた「花の首飾り」もジュリーが歌う形で演奏されたが「ぜひご一緒に歌ってください」と前置きしている。5人揃わなかった無念が伝わる。

そういった繊細な想いを踏みにじるように「タイガース再結成」と無神経に見出しをつける記事・雑誌・新聞、ウェブサイトは信じない方がいい。少なくともジュリー・ファンに向けた記事ではない。

この日は前年から行われていたツアーの最終日。この日に向けて行われたツアーといっていい。MCでも75歳という節目の誕生日、しかも日曜日とあってスケジュールを押さえるのが大変だったことを明かしている。ジュリーの個人事務所社長となった岸部一徳のつてでテレビ朝日が動いて実現にこぎつけたという(ドラマ「相棒」の影響力!)。

この2022-23ツアーだけでなく、2018年以降のジュリーはこの日のために粛々と準備を進めていたともいえるだろう。

新型コロナウイルスの影響が出はじめた2020年のツアーは中止されたものの、不幸中の幸いで当時のツアーはギターの柴山和彦(1980年からの相棒)との2人体制だったことから、翌2021年には感染対策をし、静かめの曲を中心としたツアーを実施した。

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