近鉄特急の陽キャ「伊勢志摩ライナー」の持ち味 1994年登場、サロンカーがリゾート気分を演出

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大阪・京都・名古屋という近鉄が拠点とする大都市と伊勢・鳥羽・志摩の観光地を結ぶ伊勢志摩ライナー。土休日の11~13時台には、近鉄名古屋、大阪上本町、大阪難波、京都の各駅発の6本の伊勢志摩ライナーが賢島に到着する。さらに3本の「しまかぜ」がやってくる。鳥羽―賢島間の志摩線は特急街道の性格が強い。

賢島駅 伊勢志摩ライナーとしまかぜ
賢島駅に停車する2色の伊勢志摩ライナー。右の2本は「しまかぜ」(記者撮影)

一方、奈良―大阪難波間、京都―奈良間、京都―橿原神宮前間など、“伊勢志摩を走らない伊勢志摩ライナー”もある。

伊勢志摩ライナーがデビューした1994年は名車両が豊作の年。鉄道友の会が選ぶ翌年の「ブルーリボン賞」は南海電気鉄道の50000系「ラピート」、「ローレル賞」はJR北海道のキハ281系「スーパー北斗」だった。伊勢志摩ライナーは両賞の選考に漏れたが、鉄道分野で国際的に権威があるという「ブルネル賞」奨励賞に選ばれている。

近鉄 奥山元紀さん
技術管理部の奥山元紀さん。運転台もスマートな印象のデザインだ(記者撮影)

同社技術管理部の奥山元紀さんは「30年前にリゾート地へお客さまを運ぶために登場した伊勢志摩ライナーは観光特急の先駆け的な存在。手軽な値段で利用できるサロン席やデラックス席を備え、現在の主役『しまかぜ』を補完する役割を担っている」と話す。

トレンド入りする志摩スペイン村

伊勢志摩ライナーが発着する賢島は2016年の主要7カ国(G7)伊勢志摩サミットの開催で国内外から注目されたほか、2023年にはG7三重・伊勢志摩交通大臣会合の会場になった。

同い年の志摩スペイン村は最近、アトラクションの「待ち時間ほぼゼロ」といった自虐ネタや、Vチューバーの「周央サンゴ」さんとのコラボでSNSを中心に話題にのぼる機会が増えた。2024年はさらに「壱百満天原サロメ」さんも加わって集客に拍車をかける考えだ。

ちょっとリッチなリゾート特急の旅を手軽な値段で楽しめる、伊勢志摩ライナーにも改めてスポットライトが当たる場面があるかもしれない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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