過去の震災でも、地中の排水設備が閉塞していることに気づかずに汚水を流したため、1階の便器に汚水が逆流したという事例もありました。逆流の兆候は、便器内の封水から空気がボコボコと出る、封水(洗面台や流しなどの器具と排水管の接合部に溜めてある水)が跳ね出すなどです。
スイッチを入れて電気がつかなければ停電、蛇口をひねって水が出なければ断水というように、これらは容易に確認できますが、排水設備は何かが起きない限り損傷に気づかないという特性があります。
専門的な検査をすればわかりますが、災害時に検査することは現実的ではありません。
災害時など、排水設備の損傷が想定される場合は、居住者による簡易点検の方法を作成するとともに、トラブルの兆候をいち早く察知して、臨機応変に対応することが求められます。そのためには、排水管がつながっている各戸での連携が必要になります。
あなたの住む集合住宅の給水方式は?
■建物の給水タイプで災害時の対応は異なる
災害時、停電や給水装置、配水施設の損傷で断水が発生するケースは少なくありません。
しかし、建物によって断水までの時間に幅が出ることもあります。発災直後から断水になることもあれば、2〜3日後になって断水することもあります。また同じ地域でも、建物によっては断水しない場合もあります。
これらは、建物の給水方式の違いによることが考えられます。
給水方式は大まかに分類すると4方式です。「直結直圧方式」は、水道本管からの圧力で直接給水します。通常は3階までの建物に採用されます。この方式の場合、停電していても水が出ます。
一方、ほかの3つの方式では、いずれもポンプで圧力をかけて給水するため、停電と同時に断水します。
ただし、屋上にある高置水槽に一旦貯めてから自然流下で各戸に給水する「高置水槽方式」では、停電によりポンプが停止したとしても、高置水槽に貯まっている水が出ます。つまり、この方式を採用している建物では、高置水槽が破損しなければ、そのときに貯まっている水を自然流下で有効活用できます。
給水方式によって災害時の対応方法が異なるので、自宅の給水方式を把握しておくことが大事です。
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