「セクシー田中さん」詳細が公表されぬ4つの理由 日テレと小学館、本当に「責任逃れ」狙いなのか
知人の某出版社編集者は「おそらく刑事事件にならないことだから、過剰に個人を責めるところに行ってほしくないのだと思います。各担当者に至らないところがあったとしても、自分なりに一生懸命やったかもしれないし、もしそうなら責められるべきは会社だから」などと語っていました。
しかし、「ある個人を過剰な攻撃から守ることで、他の個人を困らせることになってしまう」というケースがあるのも事実。それぞれの局員、社員はもちろん、取引先の担当者、視聴者や読者などのために、もし経緯の詳細を公表しないとしても、今後に向けた具体的な対策は1日でも早く出さなければいけないように見えます。
テレビ局と出版社の関係性を優先
両社がなかなか動かない3つ目の理由は、「ビジネスとしてテレビ局と出版社の関係性を良好に保ちたい」から。
経緯を調べ直すほど、どうしても「言った、言わない」「こういうつもりだった、そんなつもりではなかった」などと自分の言動を正当化し、相手の対応を批判するような事態を避けづらいところがあります。
実際、今回の件を周辺取材したところ、日本テレビと小学館それぞれに事情や言い分があり、それぞれから「自分の立場からは良かれと思ってしたけど、相手から見たらなぜなのかわからなかったかもしれない」というニュアンスの言葉が聞こえてきました。
それらが真実なのか保身なのか真相はわかりませんが、そのようなすれ違いが出やすいのは事実であり、詳細を調べるほど話はこじれやすく、今後の仕事にまで影響が及ぶリスクが高くなっていくでしょう。さらに言えば、今回の件は「漫画や小説のドラマ化」という点で、すでに他のテレビ局や出版社にも影響を及ぼし、もはや日本テレビと小学館だけの話では済まないものになりました。
テレビ局にとっては、「放送収入の減少を補う」ためにコンテンツビジネスの重要性が高まり、その筆頭であるドラマを多数手がけていくためには出版社との連携は不可欠。なかでも大手出版社との関係性は重要であり、「1年中、何かの仕事で連携している」という状態が続いています。
一方、出版社にとっても、ドラマ化することで漫画や小説が売れるため、テレビ局との関係は重要であり、企画段階からドラマ化狙いの作品も少なくありません。また、近年テレビ局がシリーズ化や映画化、海外配信やグッズ展開などビジネスとしての拡張性・収益性を考えてオリジナル作品を重視しはじめているだけに、出版社にとっては「これまで以上に円満な関係性を築いていきたい」という思いがあるようです。
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