「セクシー田中さん」詳細が公表されぬ4つの理由 日テレと小学館、本当に「責任逃れ」狙いなのか
今回の件にかかわらず、「問題が発生したときに沈黙するほど疑いが強くなり、不信感が増す」のは、通常の人間心理。特に今回は才能と実績のある漫画家の命が失われただけに、再発防止の観点なども含めて、怒りの声を上げたくなるのは自然な流れでしょう。
ただ、それ以前に、なぜ日本テレビと小学館は経緯を調べ、再発防止策を発表するなどの具体的な対応を行わないのか。その背景を掘り下げていくと、単に「責任逃れ」や「風化狙い」などの批判とは異なる4つの理由が見えてきます。
あらかじめ書いておきますが、ここでは決して誰かの味方をするわけでも、ましてやテレビ局や出版社のフォローをしたいわけでもありません。両社に限らず多くのテレビ局や出版社とやり取りしてきた経験と、この10日あまりで関係者を取材して分かったことをベースに、「なぜなかなか動かず、沈黙のような状態が続いているのか」を冷静な目線からつづっていきます。
真っ先に尊重すべき故人と遺族
両社がなかなか動かない1つ目の理由は、「芦原妃名子さんと遺族を真っ先に尊重しなければいけない」という前提。
実際、小学館が今回の経緯を公表しない理由は、「芦原さんが経緯などをつづったSNSへの投稿を削除したことを踏まえて、『故人の遺志にそぐわない』ため」などと報じられています。
確かに芦原さんは投稿を削除しており、Xにつづった最後のメッセージは「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」でした。さらに、芦原さんの遺族は「取材のご依頼をいただいても、とてもお話できる状況にはありません。また、こうした状況下、見知らぬ方から声をかけられることに怖れを抱いております。どうぞ、今はそっとしておいていただき、静かに見守っていただければ幸いです」などとコメントしています。
最大限に尊重すべき故人が思い悩んだあげくに「誰かを攻撃したくない」というメッセージを出し、「もう経緯の話はしてほしくない」とばかりに投稿を削除したこと。遺族も「何も話せないし、聞かれたくないし、そっとしておいてほしい」という気持ちを明かしていること。この2つを踏まえて、「経緯の詳細を公表して事を大きくするのはどうなのか」と考えるのは当然であり、「責任逃れ」や「風化狙い」とは言い切れないでしょう。
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