宅配低迷のヤマト、国交省が下請けたたきで「勧告」 誤算続きで業績低迷、企業風土改革も急務

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国交省は2022年11月にもヤマトに対し、下請け会社に過積載の運行の指示をしたとして、是正するよう「要請」を行っていた。しかし、その後も改善はなされず多数の違反につながる行為が確認された。そこで今回、勧告と社名公表に至ったという経緯だ。

ヤマトも運送を担う会社であり、顧客である荷主に厳しい条件を突きつけられたら苦しいことはわかっているはずだ。宅配便のネットワークを維持するには、配達や長距離輸送を担う協力会社の存在なくして成り立たない。それなのにパワハラまがいの取引を強いていたことは、業界大手として実に残念なことだ。

経営課題は山積み

栗栖副社長は国交省の勧告について「パートナーの皆様や関係者にお詫びを申し上げる。範囲としては全国的という話を聞いている。真摯に受け止めて対策を講じていく。ただやっていくのではなく、仕組み化してモニタリングもできるようにしなければならない」と再発防止に向けた考えを説明した。

ヤマトは協力会社と相談し、コスト高が進む中で単価の上乗せや経営支援などを進めてきたが、条件の見直しだけで十分だったのか。協力会社に対して抜本的な関係や契約の見直し、さらに企業風土の改革も必須となりそうだ。

荷物量の回復が鈍る厳しい事業環境の中、法人顧客との運賃交渉や配送網などの現場改革、日本郵便への一部業務移管など、経営課題は山積している。そこに企業体質の改善という問題も、新たに加わった。業界の盟主としての姿勢が問われている。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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