日経平均、2万円割れが現実味を帯びてきた 外国人投資家は日本株を「売り逃げ」している
以前から米政府は、米ドル高が米景気や企業収益に与える悪影響を懸念し始めている。そのなかで、日本がさらなる円安を志向する姿勢を打ち出すことは難しい。また日本自身にとっても、一段の円安の進展は、輸入コスト増への懸念が広がる恐れがある。
「G7と冷酒は後から効いてくる」という格言は、G7の会議そのものからは大きく市場を揺るがすような材料が飛び出さなくても、G7会合の場で話し合われたことが、後から各国の要人の発言などを通じてにじみ出ることが多い、という意味であり、なかなか味わい深い。
実は、原田日銀審議委員は、6月4日(木)に大手通信社とのインタビューで、現状の為替は「かなりいいところまできたのかもしれない」と述べていた。G7サミット(6月7(日)~6月8日(月)では、オバマ大統領が「強いドルは問題だ」と発言したと報じられた(のちに米政府側は否定)。
その延長線上で、黒田発言が出たことは、やはり驚きではない。つまり黒田発言は冷酒のように、後から効く材料の一つだったわけだ。いや、冷酒ではなく、市場への冷や水だったとの声もある。
「ゴルディロックスの祝い酒」に酔った市場
景気もほどほど、金融政策もほどほど、海外の市場環境もほどほどと、強くもなく弱くもない諸材料をいいとこ取りし、都合よく解釈して、楽観に走ることを、欧州の童話「3匹のくま」(英国の民話を基に、ロシアの文豪トルストイが再構成したといわれる)に出てくる小さな女の子の名前をとって、「ゴルディロックス」と呼ぶ。
日経平均が12連騰する間、国内株式市場は「ほどほど感」という美酒に、長い間酔いしれていたようだ。その酔いが回り過ぎたのか、あるいは冷や水を浴びせられて驚いたせいか、株式市場の足元は定まっていない。
今週は、米FOMC(米公開市場委員会、16日(火)~17日(水))をにらみながら、方向感を失った市場の千鳥足が続き、むしろ株価下振れのリスクが高いとみる。
その1~2か月先まで展望しても、国内外とも株価は下落方向だと懸念する(日経平均のメドは1万7000円台)。そうした流れの中で、今週(15日(月)~19日(金))の日経平均は、1万9800~2万0450円を予想する。
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