実写化「ゴールデンカムイ」驚嘆の感想で溢れる訳 原作漫画ファンも初見の人も圧倒されたこれだけの理由
ダークヒーローの定義は「社会的に正しい倫理観や問題解決の手段ではないやり方で、物事を解決する」というものだ。本来であれば、応援しにくい価値観だが、この物語がそうであるように、もっと悪い相手がいることで正当化される。
そもそも人は悪魔的なものに惹かれる一面があり、キレイゴトを並べるヒーローより、「目には目を、歯には歯を」というほうが痛快な場合も多い。王道の正義が成り立たない時代には、少しくらいダークな要素を持つ主人公のほうが好かれるのかもしれない。
ただ『ゴールデンカムイ』は、どんな手段を使ってでも金塊を手に入れると言い切る杉元が、アシリパに会って価値観を揺さぶられていく物語でもある。
杉元が金塊を探すのは、お金目的だと言うことが一貫して描かれるが、戦争マシーンのように見せておいて、裏には切実な目的があることがやがて明らかになる。
重要なネタバレを含むために詳細は避けるが、人間らしい切実な一面が明らかになることで、キャラクターとしての魅力が増したのは間違いないだろう。ちなみに、映画では原作よりこのネタバレを遅らせ、映画のラストに持っていっていることが、とても効いていた。
キャラクターの魅力はギャップの中に生まれる
キャラクターとは外的要素(見た目や所有物など)や内的要素(性格や価値観など)によって作り上げられているが、主人公においては「共感要素」と「憧れ要素」のどちらかに集約されることが多い。つまり、憧れ要素が強い主人公と、共感要素が強い主人公に分けられるのだ。
杉元の場合、不死身の強さという憧れ要素がありながら、先ほどの秘めた動機や時折見せる繊細な一面が「共感要素」として働き、魅力的な人物となっている。
ちなみに、このように外的要素と内的要素にあるギャップがキャラクターの魅力につながることは多い。アシリパも見た目は子どもなのに、内面が大人びているなど、そういったギャップが魅力につながっている。
杉元の場合も「不死身でありながら繊細」であることが物語が進むにつれてわかっていき、その人柄に引き込まれていくのだ。
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