蔓延する「インフルエンザ」、なぜ2回かかるのか 今シーズンは3種類のウイルスが流行している

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A型2種類、B型2種類の免疫のもと=抗原を含むワクチンしか日本国内では製造されていない。よって、ワクチンを受けた人は、すべての流行しうるウイルス亜型に対して免疫がついていると考えていい。ワクチンは1つの種類にしか効かないと思っている人もいるようだが、それは誤解だ。

インフルエンザワクチンの発病予防効果は、こどもでは70%程度、健康な成人では59%程度、65歳以上の高齢者では58%程度だ。実数で考えたら、この予防効果は大きい。インフルエンザにかかる人数を、65歳以上では人口の6%から2.4%へと減少させるのだ。医療機関がインフルエンザ患者であふれ、医療提供が逼迫すれば、普段なら治る病気の治療が受けられないことになる。よって、インフルエンザワクチン接種の社会的な効用は大きい。

ウイルスの種類別では、インフルエンザワクチンの発病予防効果はAソ連型56%、A香港型22%、B型42%と報告されており、A香港型にワクチンが効きにくいことがわかる。シーズン毎のインフルエンザワクチンの効果の違いは、アメリカ疾病対策センターが推定して公表している。流行したウイルスによって効果は異なるが、概ね40〜50%程度である。

今シーズンは3種類のウイルスが流行している

2023年夏から秋口までの流行はA香港型がメインであったが、次第にAソ連型が増加したことが東京都感染症情報センターで報告されている。コロナ以前の流行パターンでは、1月末にA型インフルエンザがピークを迎え、その後はB型インフルエンザが流行し、GW前まで続くことが多い。今シーズンも同様であるならば、引き続きB型インフルエンザ流行に備えておくべきだ。

もし、今シーズンのインフルエンザワクチンを受けていない人は、今からでも遅くはないので接種をお勧めする。

久住 英二 内科医・血液専門医

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

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