蔓延する「インフルエンザ」、なぜ2回かかるのか 今シーズンは3種類のウイルスが流行している

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自然界では130種類以上のA型インフルエンザウイルスが同定されている。その多くは野鳥から検出されており、その中のいくつかは、鳥インフルエンザウイルスとして各国で家禽に感染し、最近では鳥類のみならず、オットセイなど哺乳類にも感染した事例が報告されており、新型インフルエンザ出現が近いと警戒されている。

A型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面の2つのタンパク質、ヘマグルチニン18種類(H1〜H18)とノイラミニダーゼ11種類(N1〜N11)の組み合わせで亜型(サブタイプ)に分けられる。人間の季節性インフルエンザウイルスの亜型はH1N1(Aソ連型)、H3N2(A香港型)であり、鳥インフルエンザウイルスはH5N1やH7N9などだ。

複数のウイルスが同時に感染すると、体内でウイルスが遺伝子を交換し、新たな亜型が生じる。遺伝子交換によりインフルエンザウイルスの性質が変わると、動物にしか感染しなかったウイルスが、ときどき人に感染するようになる。さらにウイルスが変異すると、人から人にまれに感染するようになり、さらに人から人に定常的に感染するようになったものを新型インフルエンザと呼ぶ。

2009年に世界を席巻した新型インフルエンザは、豚のインフルエンザが人間に感染するようになったのが原因だ。ウイルス遺伝子の解析により、北米の豚群とユーラシアの豚群の間で循環しているウイルス間で遺伝子が交換された可能性が最も高いと報告されている。

B型インフルエンザウイルスは変異しないのか?

幸い2009年の新型インフルエンザウイルスは、そこまで病原性が高くなかった。しかしこれは単なる幸運にすぎない。

これまで高病原性鳥インフルエンザが人に感染した事例は多々報告されており、その死亡率は60%だ。上述のオットセイの事例は、ウイルスの変化が起きていることを表しており、引き続きウイルスの変化をモニタリングする必要がある。

A型と異なり、B型インフルエンザウイルスではヘマグルチニンやノイラミニダーゼの遺伝子の組み換えのような大きな性質の変化は起きない。ただし、コロナウイルスでも起きているように、ウイルスの遺伝子は不安定であり、少しずつ変異している。ウイルスが変異し、少しずつ性質が変わることが、ワクチンの効果が出にくいことの原因だ。

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