日本興亜損保・二宮新社長インタビュー 合併は選択肢の一つだが、現状では白紙
--国内の損害保険市場では主力の自動車保険の停滞感が拭えない。
自動車保険は収益の柱だったが、2005年ころから損害率が上がり、それがなかなか下がらない。昨年12月に改定を行ったが、適正な料率水準を適用することはこれからも必要だ。年齢別の料率体系の導入も検討している。
--しかし、料率変更だけではなかなか成長できないように思える。
自動車保険や火災保険など主力商品は保険料収入も収益面でも厳しくなっている。自由化が進んでいる中では、かつてのような二桁成長などは望むべくもない。ただ損害保険はいろいろな種目があって、さまざまなニーズがあるので、全体では少しづつでも成長はできる。
--今後の成長のエンジンは何か。
新しいリスクにいかに対応するかがカギだ。企業の賠償責任の分野や、震災を契機にした地震保険などが有望だ。
--海外市場での戦略は。
収益の源泉は損害保険以外の分野や海外などに広げていく必要がある。海外は、進出した日系企業向けのケアという意味では充分なネットワークを持っていたが、現地向けに事業展開を行っていたのは東南アジアだけだった。ここは収益は上がっている。インドネシアやマレーシア、タイなどについては投資額を増やして子会社化するなど一定の拡大を続けている。海外は慎重に中身を検討しながら伸ばしていく方針だが、海外事業室を中心にM&A案件も検討、実施していく。これは欧州でも同様だ。
--東日本大震災は保険業界をどう変えるのか。
保険事業に従事する人間が、今回の震災を通じて役割と使命感を再認識している。社員も、代理店もそうだ。プロの代理店も、災害に伴う様々なドラマに巻き込まれ、そこで自らの責任の重さを再認識している。今後、いっそう本気になって、プロとしてお客様を支える、というところに進んでいくだろう。地域や地域の方の安全を支え続けるために、我々の強い部分、地域の金融機関や地域の代理店など我々の強いチャネルを活用して、お客様の信頼を獲得していきたい。これは、原点である「お客様」に戻ることにつながってくる。
一方で、(再保険市場の縮小などを背景に)企業向けの地震保険の市場は厳しくなっていくかもしれない。お客様のニーズに併せた引き受けのキャパシティの確保には若干、不安もあるが、これも何とかこなしていきたい。
(石川 正樹 =東洋経済オンライン)
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