証券会社からは「リスク分散や、リスク回避のためにディフェンシブな銘柄が多かったり、株式以外の資産も入っていたりするのです」などと説明されるかもしれない。顧客にとってみれば「そんなのよりも、ちゃんと上がる商品を売ってくれよ!」となる。
だから、個人には日経平均に連動性が高く、流動性やボラティリティ(変動率)の大きい大型株が人気になるし、投資信託も値動きに勢いがある「成長系」などが人気になる。ファンドマネージャーや運用会社、それを取り次ぐ証券会社は、それが正しくないと思っていても、そういうものを組成し、運用し、売りまくるのである。
「プロ」運用者の手法も、個人と大差なし
プロの運用者である機関投資家のファンドマネージャーも、似たり寄ったりである。彼らもサラリーマンだったり、ランキングで評価されて、投資家に選ばれたりする存在である。
したがって、絶対的なリターンよりも相対評価で生きている。基本は、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などのインデックスに対して、どれだけ勝ったかで評価される。
しかし、現実的にもっと強力な比較基準は「ライバルに比べてどのくらいパフォーマンスがいいか」ということになる。なんとしても隣のファンドマネージャーに勝たないといけないのである。
そうでないと、GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)などから資金ももらえなくなるかもしれないし、企業年金の資金も入らない。だから、上がるときに上がる運用になってしまう。
実際は、インデックスにちょっと色をつけて個性を出すのだが、その争いになったときに、ライバルよりも「上がるときにより上がるポートフォリオ」を組む。そして、ビリはまずい。資金を引き揚げられてしまい、クビになるからだ。だから、ある程度はインデックスについていく。
つまり、ほとんどすべての投資家は、上がる方向に賭けているか、少なくとも、下がるよりも上がる方向にバイアスを持って投資しているのである。だから、上昇トレンドの方が起きやすいし、上昇トレンドがあるときに、それにレバレッジを賭けたかのように、上昇トレンドが強まるのである。
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