なぜ株価はほとんどいつも上がっているのか? ただし「10年に1度の暴落」も近いかもしれない

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だが、アメリカのNYダウ30種平均株価は、1980年末には960ドル台にすぎなかったのが、2023年末には3万7689ドルで40倍弱になっている。アメリカは常に例外だが、ドイツでも代表的なDAX指数は2003年末の3965から2023年末には1万6751ポイントとなっており、約4.5倍となっている。このように株価というのは上がるものなのである。ここでは日本が例外だ。

しかし、日本に関しても、実はほとんどの期間、株は上がっている。ただ、1989年に日経平均が3万8915円をつけた平成バブルがあまりに異常なだけなのだ。あのバブルに惑わされてはいけない。実際、この10年を見ると、日経平均は2014年から2023年の10年間で8回上昇している。

株価はおおむね「9割の時間帯」で上昇している

その理由は何か。

「どうせオバタのことだ。要は『それはバブルだから』ということだろ」と思われるだろうが、今回の小幡は違う。バブルであることもそうなのだが、もう少し細かい構造と投資家心理の話をしよう。

まず、第1に、株価というものは、普通の時は右上がりを続け、ある瞬間、暴落が起きて、一気に調整する。そして、そこから上昇トレンドを再開する。この繰り返しなのだ。

おおむね、9割の期間、小さい上げ下げを繰り返しながら(典型的には3四半期、9カ月上がって、1回四半期で下げて、また3四半期上昇する)、上昇を続け、突然暴落し、1割の期間で調整する。「10年に1度、金融危機が来る」というのはそういうことなのである(ラリー・サマーズ元財務長官は、2008年のリーマンショックの時に『100年に1度の危機は10年に1度来る』という名言を残した)。だから、基本、多くの場合、株価は上がっている。

それで、株式投資が好きな個人は、いつも上がるから、上昇トレンドに乗ろうとする。株式投資をしない人々(だから、普段は株価水準など気にしない)は、暴落のニュースだけをテレビなどで見て「ああ、株って怖いな」と思って、株式投資を避ける。

個人向けのファンドマネージャーも、基本は買い続ける。なぜなら、買いトレンドが起きているときしか、つまり、上がり続けているときしか、個人は投資を増やそうとはしないからだ。

「これから株を始めてみよう」と思って投資信託を買う人は、そういうときしか、重い腰を上げないし、避けていたところに、恐る恐る近寄ってこないものだからだ。そして毎日「日経平均がいくら上がったか」を急に気にするようになる。

そうすると、「あ、今日は日経上がった、自分のファンドも値上がりしているだろう」、と思って、ファンドの基準価格や自分の資産の時価を見ると(ネット口座になって、本当にリアルタイムの自己資産がわかるようになり、こういうことは便利になった)、「あれ、あんまり上がってない。なんだよ!」などと、怒りを証券会社やファンドマネージャーにぶつけたくなる人も多い。

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