未曾有の危機に立ち向かう再生可能エネルギーの未来《3》普及促進のカギは、発送配電の分離
電力自由化の先進国である英国では新規参入が相次ぎ、発電会社は90社以上、小売(配電)会社も80社以上が存在しているが、送電網は1社が管理しており、安定供給を行いながら重複投資を抑制し、政府の監督の下で再生可能エネルギー促進のためのネットワーク構築も行っている。
確かに日本でも一部の電力自由化は行われている。だが、今後さらなる再生可能エネルギーの拡大には、(1)市場を活性化するための発送配電分離と完全電力自由化、(2)民間投資を呼び込むインセンティブと競争原理の導入、(3)それを支えるインフラ整備を国がしっかりと推し進めること、という抜本的な改革が必要であろう。
日本の再生可能エネルギー普及のグランドデザインを
化石燃料の価格高騰への対応や中東依存の縮小、原子力からの政策的撤退、またCO2削減手段の1つとしてなど、理由はさまざまだが再生可能エネルギーへの要望は今後も世界的に弱まることはないだろう。
その中で、日本も既存の中央集権的なエネルギーシステムから、地域を中心とした自立分散型システムへの移行を考える時期に来ているのではないだろうか。
もちろん、風力発電機や太陽光パネルを建てる土地も限られた日本において、すべてを一気に再生可能エネルギーで賄うという夢物語を描くのではない。
現在は段階的に化石燃料や原発への依存を下げつつ、エネルギーの地産地消を実現するための現実的な道筋を真剣に検討する時期に来ていると考える。それによって日本の再生可能エネルギー産業自体も活性化し、今なお高いコストの低減や日本の技術力を生かした海外展開も可能となろう。
※京都議定書で規定された、先進国が他の先進国に投資して共同で温室効果ガス排出削減プロジェクトを実施し、削減分を投資国の目標達成に利用できる制度。
ふじつ・ともこ
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