「料理の脇役から主役へ」スープストック躍進の訳 食の欧米化に伴い、汁もの文化にスープが加わる

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あまり広くない店内には女性客が多い。開業時から「女性が1人で入れるファストフード」をコンセプトにしたが、顧客層は圧倒的に女性が多い。

ちなみに定期的に利用する人は、こんな話をしていた。

「お腹はすいたけど、ガッツリ食べたい気分でない時に月1ペースで利用します。スープなので食べやすく、メニューも頻繁に変わるため飽きません。夏には冷たいスープもありますし。でも最近はカレーの利用が多く、予算は1000円未満です」(30代の女性)

一方、1000円程度の食事で満腹になりたい人(男女)はあまり利用せず、「気になっているけど入ったことがない」(20代の女性)、「以前に1度だけ利用した」(50代の女性、同男性)という声もあった。長年消費者取材をしてきたが、女性=少食の時代ではない。スープのラージカップ+カレーを頼めばお腹は満たされるが、予算内に収まらないからだろう。

スープは脇役から主役に近い存在に

とはいえ、自宅で再現しようと思えば手のかかるスープを身近にした功績は大きい。最近行った別の飲食店取材では、こうした声があった。

「冬向けのメニューとして、スープとサンドイッチのセットを投入しました。選べるスープは2種類あり、“野菜とソーセージのポトフ”と“ずわいがにのビスク”ですが、注文が多いのはビスクです。当店の利用客は圧倒的に女性が多いですが、スープストックさんのイメージもあるのかな、と思っています」(事業責任者の男性役員)

1号店から25年たち、スープに対する消費者意識はどう変わってきたのだろう。

「料理の脇役的存在から主役に近くなったと感じています。“食べるスープ”はぼくたちが提唱してきたと自負していますが、近年はコンビニ店舗やカップスープのパッケージでも、この言葉が使われるようになりました」(松尾社長)

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