「料理の脇役から主役へ」スープストック躍進の訳 食の欧米化に伴い、汁もの文化にスープが加わる

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2016年に「一声かける」を提案した当初は「スピードが命の店で、そんなこと言っていたら提供が遅くなる」と猛反発を受けながら押し切った。実際どんな反響だったのか。

「お客さまには好評で、品切れの店も続出しました。『家族と医者以外に“健康で過ごしてください”と初めて言われた』という声も寄せられ、仙台店を利用された方からは『早く地元の青森県にも出店してほしい』とご要望いただいた年もあります」(松尾社長)

スープストック
スープストックトーキョーの松尾真継社長(撮影:尾形文繁)

社長に就任した2016年は、それまでの運営会社(スマイルズ)から分社した年でもある。同年に定めた企業理念が「世の中の体温をあげる」だった。身体だけでなく心の体温も含まれるが、筆者は “体温をあげる”は企業活動の軸足だと感じている。この軸足がグラグラすると活動が乱れて、強みが生かせない飛び地事業に進出したりするからだ。

利用客は圧倒的に女性が多い

年の瀬の12月30日、「スープストック桜新町店」(東京都世田谷区)に足を運んだ。9月15日にオープンした新店舗で、東急田園都市線・桜新町駅前にある。

注文したのは「スープとスープのセット」(税込み1100円)。スモールカップのスープ2つ+サイドメニューで、スープは「オマール海老のビスク」「東京ボルシチ」を、サイドメニューは石窯パンを選んだ。

「約200あるメニューの中から、店舗ではお勧め商品として12~15品を選んで提供。3分の2がスープで3分の1がカレーですが、定番スープの人気ベスト3は、①オマール海老のビスク、②東京ボルシチ、③とうもろこしとさつま芋のスープとなっています」(松尾社長)

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