「服を捨てたらオシャレになった」アラ還男の変身 たくさん服を持っていてもおしゃれとは限らない

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以前のエッセイでも書いたのですが、夫はもともと買い物が好きで捨てられないタイプ。ミニマリストとは正反対の、マキシマリストというやつです。独身時代は暮らしていたマンションの1部屋を衣装部屋にして、部屋にびっしりと洋服ダンスを並べ、30年以上前に買ったバブル時代のDCブランドの洋服すら、1着も捨てずに取っておくような人でした。

お付き合いしていた頃は、蛍光緑のエスパドリーユ、シワ加工されたおばちゃんっぽいブラウス、あんたが30歳若かったら似合うかもなというアロハシャツ、バブル時代に買ったのか絶妙なダサさを醸し出す脇のラインのシャツなど毎回奇妙な服を着てデートに現れ「この人大丈夫かなあ……」と私の心をざわつかせたものでした。

少ない服で着回し。花柄シャツは3着、コートはオフィス兼用と寒い日に着る中綿入りのもの2着(筆者撮影)

はりきってくれてるのが伝わってかわいいなと思うけど、まあダサかった。その頃の夫にとってのおしゃれとは「毎回違う服を着てデートに行くこと」だったのだろうと推察します。1980年代のバブル景気は消費を尊ぶ時代だったので、その頃青春を過ごした夫にとって、「服をたくさん所有していること=おしゃれ」というのが価値観だったのでしょう。

結婚してからもしばらくは服を捨てしぶり、断捨離しろと言うと洋服をひっぱり出して眺めては「懐かしいなぁ。このJUNの服は高かったねん」とか「見て! バーゲンで300円で買ったTシャツ、安いでしょ?」とか思い出を語り、その後1回だけ80年代に流行した肩パッドの入ったぶかぶかのジャケットや、セールで買ったド派手なオレンジのTシャツを着て、満足しては洗濯カゴに放り込むという繰り返しで、服は一向に減りませんでした。

捨てられない夫が洋服を手放しておしゃれになった話

夫の服装は昔からトンチンカンだったようで、兄弟にも少しバカにされたような口調で「お兄ちゃんの服は派手だから、目じるしになって待ち合わせにちょうどええわ」と言われたりしていて、私だったら傷つくけどなぁと思ったりしたのですが、本人は全く気にした様子もなくニコニコしています。

かつてのファッション。売れ残りの不人気色を安く買うのが大好きなので、待ち合わせに重宝されていました(筆者撮影)
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