本当にできる?小田急多摩線「相模原延伸」の現状 採算性に課題、2027年度までは動きなしか
小田急多摩線は1974年6月に最初の区間である新百合ヶ丘―小田急永山間が開業し、現在の終点である唐木田まで延びたのは1990年3月。だが、小田急の路線を横浜線や相模線方面へ延ばそうという計画は同線の開業より前から存在した。
1958年、小田急は小田原線の鶴川駅(町田市)を起点に横浜線の淵野辺駅、相模線の上溝駅や田名(いずれも相模原市)などを経て城山町(現・相模原市緑区)へと至る「城山線」の免許を申請した。城山線は実現しなかったが、前述の関係者会議の報告書によると、同線の計画の存在が「横浜線沿線から上溝、田名を通り愛川方面へ向かう鉄道計画の端緒となった」という。その後開業した多摩線の横浜線方面への延伸については1985年、2000年に公表された東京圏の鉄道整備に関する答申に「検討すべき」路線として盛り込まれた。
在日米軍再編が計画進展のきっかけに
延伸計画に弾みがつくきっかけとなったのは「在日米軍再編」だ。2006年、日米両政府は相模原駅の北側に広がるアメリカ軍相模総合補給廠の敷地の一部を日本に返還することで基本合意。これによってJR相模原駅付近に新たな駅を設ける場所の確保にメドがつき、相模原市と町田市などは延伸についての調査検討を進めた。2014年には敷地の一部が返還された。
関係者会議が2019年にまとめた報告書では、延伸区間は唐木田から町田市内の中間駅と相模原駅を経て上溝駅に至る約8.8km。インフラの整備は公的主体、列車運行などの営業は小田急が行う上下分離方式を想定している。
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