■ウィルキンソンが狙うミキサードリンクとしての棚
コンビニエンスストアの飲料の棚を見ると、ここ数年で変化を感じないだろうか。2007年3月27日に発売された「ペプシネックス」を皮切りに「カロリーゼロ炭酸飲料」ブームがわき起こった。しかし、今日、棚を見るとどうだろう。飲料のラインナップに最もコンサバティブなコンビニチェーンは、筆者はセブン-イレブンだと思うのだが、そこにあるカロリーゼロ炭酸飲料は定番の「ペプシネックス」「コカコーラゼロ」「C.C.レモンZERO」くらいだろう。つまり、一過性のブームで登場した商品の多くは消え去っている。
ブームに遅れて乗った商品と見られたくない。そんなアサヒ飲料の意志が感じられる。
アサヒ飲料はかつて、「大人炭酸シリーズ」として第1弾「アサヒ グリーンコーラ」を発売した。CMに出ないことで有名な大ロックスターの氷室京介を起用し、大きな話題をさらった。続く第2弾ではジンジャーエール風の「アサヒ ドライスパークリング」を発売した。しかし、これは第1弾ほどの話題にはならなかった。「アサヒ ドライスパークリング」は「ハードでドライな刺激・大人の辛口炭酸」であると同時に「カロリーゼロ・糖質ゼロ」をウリにした。その商品との同一視を避けたいという意向もあるのだろう。
アサヒ飲料の「ウィルキンソン ジンジャエール 辛口」にかける意気込みは本気だ。
ニュースリリースを見ると、前出の「アサヒ ドライスパークリング」の販売目標数は30万ケースであった。その目標数字は、サントリー食品が昨年まで毎年、ブランドとしての話題喚起のために発売していた、「ペプシしそ」や「ペプシバオバブ」といった「変わり種ペプシ」とほぼ同数である。しかし、「ウィルキンソン ジンジャエール 辛口」の目標はおよそ200万ケース(NRをみると、目標「500万箱(ブランド全体)」とあるので、「2010年の販売数量は2007年比181%(291万箱)と大幅に拡大」との記述からすると、ペットボトルの目標値は約200万ケース)だ。
アサヒ飲料はどこで勝負をかけるのか。
飲料業界トップの日本コカ・コーラの力の源泉は、自販機の保有台数だ。日本に290万台あるといわれているうちの98万台を占める。サントリーは44万台。アサヒ飲料は大きく遅れて23万台である。今日、日本の自販機は完全に飽和状態にある。もはや好立地に設置することは難しい。しかし、自由に商品を展開でき、定価販売できて利益率が高いといううま味も捨てがたい。悩ましい選択である。
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