北京「屋内全面禁煙」、日本で導入の可能性は 飲食店などの「営業の自由」はどうなる?
「飲食店の店主は、自分の店を全面禁煙にするか、それとも分煙や全面喫煙にするかを自由に決める『営業の自由』という権利を持っているんですね。もし全面禁煙を強制すれば、店主が持っている自由を制限することになります。
こうした『国民の自由』を、国家が制約するためには、制約によって失われる利益よりも、得られる利益が大きくなければなりません。一般的には、『自由を制約する目的に価値があるといえるか』と、『その目的を達成するために、その手段でいいのか』といった点が問題となってきます」
全面的な「禁煙条例」は憲法違反か?
「禁煙条例をつくる目的が、オリンピックのための政治的アピールなら、憲法で保障された権利を制約する根拠になるとは言い難いでしょうが、『受動喫煙から国民の生命・身体を保護すること』ならば、目的の重要性は認められそうです。
しかし、有害だから全面禁止というのは、目的を達成するための『手段』として、いくらなんでも乱暴です。
受動喫煙を防止するためには、なにも『屋根のある場所』での喫煙を全面的に禁止する必要はありません。たとえば、喫煙席と禁煙席を完全に分離したり、高性能な空気清浄機の設置を義務付けたりすることで、受動喫煙は防止できるはずです。
また、空港や駅といった公共の場所での全面禁煙はやむを得ないとしても、喫煙の自由を不当に制約しないように、全面禁煙の対象となる施設を限定する、喫煙所の設置を義務付けるなどの措置をとるべきでしょう。
たしかに、日本はWHOの『たばこ規制枠組条約』を批准しておりますし、健康増進法や労働者安全衛生法は受動喫煙防止につき定めていますが、いずれも北京の『禁煙条例』のような法的強制力はありません。また、厳しいといわれる神奈川県の禁煙条例は、完全な全面禁煙ではなく、喫煙所の設置や分煙を認めています。
他人に悪影響があるものは、なんでもかんでも規制すべきだとの風潮もありますが、喫煙者でなくとも、喫煙者の気持ちもきちんと考えるのが、憲法の流儀です。次に規制されるのは、あなたの大好きな趣味かもしれませんから」
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