リコー「外出先でもタバコ禁止」令は合法? ネットで賛否両論、社員を拘束しすぎか
オフィス機器大手のリコーは1月上旬、国内のグループ会社で就業時間に喫煙を全面的に禁止することを発表した。オフィスでの喫煙を禁止しただけでなく、就業時間内であれば、外出先や出張先、移動中も対象に含まれている。
対象となるのは、国内リコーグループの全役員と、正社員や契約社員、パートタイマーといった直接雇用の関係にある従業員。受動喫煙を防止することで、社員の健康増進を目指している。
「受動喫煙防止のための禁煙」という考え方
今回の取り組みについて、ネットでは「うちの会社も導入してほしい」「むしろ分煙を推進すべき」「ここまで拘束するのはやりすぎだ」などと、さまざまな意見があがっている。外出先でも禁煙を強いるルールは、法的に問題ないのだろうか。近藤麻紀弁護士に聞いた。
「法的には、問題ないと考えます」
近藤弁護士はズバリ述べる。どのような根拠があるのだろうか。
「今回と異なる場面ですが、喫煙禁止の適法性が争われたケースとして、次のような判例があります。
『煙草は生活必需品とまでは断じがたく、ある程度普及率の高い嗜好品にすぎず』『喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権の一に含まれるとしても、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない』(最高裁大法廷判決昭和45年9月16日)
また、地裁レベルの裁判例ですが、『受動喫煙』による『肺がん等のリスクが増加することは否定できない』との考え方が示され、受動喫煙に対する使用者の安全配慮義務違反が認められたケースもあります(東京地裁判決平成16年7月12日)。
このような判例の考え方に加えて、使用者(会社)の労働者に対する安全配慮義務や、受動喫煙防止のための措置を講ずる努力義務という観点から、労働者の受動喫煙防止のために喫煙を禁止することは認められると考えます」