リコー「外出先でもタバコ禁止」令は合法? ネットで賛否両論、社員を拘束しすぎか

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それにしても、全面禁煙というルールはやりすぎではないだろうか。

「受動喫煙の対策としては、全面禁煙がきわめて有効だと考えられています。また労働者は、就業時間中、原則として使用者の指示命令にしたがい職務に専念する義務を負いますが、喫煙時間は物理的には業務に従事しない時間です。

このような観点から、就業時間中にかぎって全面禁煙とすることは、受動喫煙を防止する目的達成のために必要な制約として認められると思います」

残留受動喫煙も加味すると……

それにしても、外出先や移動中まで禁煙は厳しい気がする……。

「たしかに、そういう考え方もあるとは思いますが、最近は、衣服などに付着したタバコ臭や有害成分などの残留受動喫煙(サードハンドスモーク)の問題も指摘されていますから、受動喫煙防止の徹底や、社員間の公平性の確保という点からも、全社員に公平な『就業時間』という基準で全面禁煙とすることは不合理ではないと思います。

今回のリコーの報道発表資料によると、単に全面禁煙とするだけではなく、喫煙者への禁煙支援など、喫煙者側の健康配慮のための措置も講じられています。また、状況に応じた特別措置も設けているようです。この点からも『不合理な制約』とまではいえないでしょう」

近藤弁護士はこのように話していた。

近藤 麻紀(こんどう・まき)弁護士

2000年4月に弁護士登録。法律事務所と地方公共団体での勤務を経て、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。使用者側の人事・労務分野に関する相談・交渉・裁判対応を含む企業法務案件に従事する。
事務所名:弁護士法人ベリーベスト法律事務所
 
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