商船三井が武藤体制初の総会を開催、今期減益計画を株主が叱咤する場面も
海運大手の商船三井は23日、東京都港区の品川インターシティホールで定時株主総会を開催した。来場した株主は昨年より48人少ない628人(昨年は676人、一昨年は655人)。
本総会の決議事項は5つ。配当関連や役員・監査役の選任といった通常議案のほか、第5議案としてストックオプションの導入が付議された。ストックオプションの対象は、執行役員、幹部職員に加えて、国内子会社の会長・社長で、海外子会社の役員は対象外。
前2011年3月期が10年3月期比で大幅な営業増益だったにもかかわらず、今12年3月期が半減の大幅減益計画であることから、「海運市況は(厳しい状況にあることは)わかるが、しっかりと利益を上げ、さらに配当を上げていただきたい」と株主が経営陣を叱咤し、会場から拍手が起きる一幕があった。武藤光一社長は「外部環境を原因にするのはよくないが、現下のマーケットは厳しい。今後も企業価値の向上に努めたい」、と集まった株主に海運業が市況に左右されやすい業態であることへの理解を求めた。
とはいえ、そもそも国内海運業の中では商船三井が好収益体質であるからか、業績に関する掘り下げた質問は出されず、東日本大震災による影響や環境対策、海賊問題などに株主からの質問が相次いだ。
「(国家財政破綻危機の渦中にある)ギリシャの船会社など、EU圏において同業他社を買い叩く考えはないのか」というストレートな質問も出た。これに対し、青木陽一副社長(総会後退任、以下青木副社長)は、「まずは経営基盤の強化を優先する。そのうえで市況動向を見極めて、躊躇することなく検討していきたい」、と従来からの基本的な考え方を説明した。そのうえで武藤社長は、「ギリシャの船会社は(大前提となる買収通貨である)ドルベースで見ると、(折からのドル安円高の影響で)実は安くない」と本音を吐露する一方、「積極果敢に検討していく」、と為替相場など状況が整えば海外M&Aに打って出る構えを示した。