商船三井が武藤体制初の総会を開催、今期減益計画を株主が叱咤する場面も
ある株主からは、「来年、再来年の見通しとして、商船三井の世界シェアはどうなるのか」という質問が出た。青木副社長は、「シェア自体はそんなに変化しない」と述べた一方、武藤社長は、未実現の海外M&Aを織り込まない前提で「世界の傾向ほどには増加しないので、シェアは一時的に下がるであろう」と別の見方を示した。
他の株主からは、ストックオプションに関する議案に関して、「国内だけではなく海外の子会社会長や社長を対象にしないのはなぜか」という質問が出た。これに対し、青砥修吾常務は、「香港など海外の子会社の現地人会長や社長については、貢献度を見極めた上で、検討していく」と将来に含みを持たせた。
震災関連では、商船三井の被害状況についての質問が出た。平塚惣一専務は、「3月11日には東北地方の近海に40隻ほどの船があった。うち、鹿島と石巻で1隻ずつが被災したが、2隻とも被害が最小限で、(船体全壊や乗組員の遭難といった)最悪の事態は回避した」と回答した。
海賊襲撃に関する質問も出た。商船三井では、タンカーがアラビア海で3月に襲撃を受けたばかりである。ソマリア人と見られる4人の襲撃犯を拘束、日本に移送されて日本で裁かれる、という異常事態に発展したことは記憶に新しい。平塚専務は、「24時間365日、しっかりと船を監視するシステムを利用し、万全の体制をとっている」と胸を張り、「今後、政府に対し、国による護送船団の派遣期間を延長してもらうように働き掛ける」と政府への期待感をにじませた。
他の株主からは、6月8日に発表した日本政策投資銀行(以下DBJ)による環境格付取得の件について、どのようなメリットがあるのかという質問が出た。これに対し、青砥常務は、「海運業界初の最高ランクの取得であり、この取得によってDBJから低金利での融資を受けることができた。今後も環境問題に取り組み、本業を通じて環境負荷の低減に努めたい」と満足げに語った。
総会は午前10時に開会。質疑応答では8人の株主から15の質問が出た(昨年は9人から22の質問。一昨年は14人から20の質問)。質問終了後、今回の総会で提案された5議案はすべて賛成多数で決議され、11時41分で閉会した(所要時間は1時間41分、昨年は2時間05分)。うち質疑応答に要した時間は1時間06分だった(昨年は1時間35分)。
(又吉 龍吾記者 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら