理研「名大の不正論文」責任著者を採用の波紋 国の研究費配分機関の処分が無効化するおそれ

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そもそも論文の不正を巡っては、2022年3月、名大の調査委員会がデータの改ざんやねつ造を認定した。実際に不正に手を染めたのは伊丹氏が主宰する研究室に所属していた筆頭筆者の元大学院生で、論文の「コレスポンディングオーサー(責任著者)」として名を連ねていた伊丹氏と、名大准教授の伊藤英人氏の2人は、改ざんやねつ造への関与を否定している。

ただ、責任著者は筆頭筆者以上に論文の成果に対する名誉や評価を享受できる一方、研究チームのメンバーに適切な指導や助言を行うほか、論文の内容をしっかりと確認して責任を持つことが求められる。元大学院生によるデータの改ざんやねつ造は、責任著者に求められるチェックを伊丹氏らがしていれば、防げたものだったと見られている。

調査委の報告書では、伊丹氏らの責任について、「日ごろからの研究指導において再現実験の実施や、普段から処理前の生データと実験ノートに向き合って実験結果等を慎重に検討していれば、早期に本件の研究不正に気づけた可能性は高い」と指摘。そのうえで、伊丹氏らについて「懲戒処分の調査・審議をする」としていた。

名大は処分の有無をうやむやに

しかし、名大は、元大学院生については修士と博士の学位を取り消して発表したのに対し、伊丹氏らについては結局、何も処分を発表することはなかった。名大に問い合わせると、「処分をしたかどうかも含めてお答えできない」(広報担当者)という。

伊丹氏の研究室が2022年4月以降も続いているところをみると、出勤停止などの大きな処分はなかったことがうかがえる。ある研究者は「ひっそりと口頭注意程度で済ませたのだろうが、だとすれば軽すぎる」と疑問を口にする。

とはいえ、伊丹氏がこれまで通りに研究を続けられているわけではない。上述の通り、伊丹氏は研究者にとって資金の大本であるJSTやJSPSからの研究費用の交付を止められているからだ。そうした中で、理研から多額の研究費用を受けられるオファーは願ってもない話だったのだろう。

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