ヒトの「不死」細胞はすでに存在している驚愕事実 ただし、皆が思い描く不老不死の実現は難しい

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修復メカニズムは存在しますが、すべての場合において治せるものではなく、時間の経過とともに損傷は蓄積されていきます。一度失われた神経細胞は再生することが難しく、特にヒトの大脳皮質などの領域では新しい神経細胞がほとんど生まれないため、損傷や老化による神経細胞の損失は永続的なものとなります。

何らかの幹細胞を入れたからといって、失われた神経ネットワークの一部を元通りにすることはほぼ不可能です。つまり、脳の機能の永遠の維持は極めて困難なものと言えるでしょう。

脳は不老不死の実現を難しくさせる最大の要因

脳は極めて複雑な神経細胞ネットワークの集合体であり、セネセンスを考慮すれば中枢神経系はいつしか衰退の一途をたどらざるをえません。それは体全体の制御、恒常性の調節にも支障をきたします。そういったところに問題が生じれば、脳も酸素や栄養素を十分に受け取れなくなります。

その負のスパイラルは生物個体としての死につながるでしょう。脳は不老不死の実現を難しくさせる最大の要因の一つと言えますが、それぞれの臓器・組織においても似たことが言えます。

30兆を超える細胞から成り立つ、様々な臓器や組織が協調しながら成り立っている人体において、何か一つの問題が生じると連鎖的に他の箇所にも影響が及ぶことは避けられません。以上は私たちの細胞における問題点ですが、ほかの問題点として免疫系の老化が挙げられます。

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