急騰している日本株が今後暴落しないか心配だ 楽観しすぎの米国株、日本経済も黄信号が点灯
では、経済の最前線で働いている人たちは、なぜ足元で警戒的になっているのだろうか。
1つは、コロナ禍の鎮静化によって、いわゆる「リベンジ消費」が一時盛り上がったが、これまでできなかった旅行や行楽などの達成感がいったんは生じているのかもしれないと考えているからだろう。その点では、今後もリベンジ消費に頼ることは難しく、やはり「賃金と物価の好循環」が必要だ。
もう1つは、消費者が生活の圧迫感を感じているのかもしれない。日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」を見ると、物価上昇を負担に感じ、暮らし向きが苦しくなっているとの回答が、過去の長期平均値と比べても優勢だ。
しかも、その回答の悪化水準は、リーマンショックから東日本大震災にかけての時期に次ぐものだ(次回の同調査は、1月17日公表予定)。もし消費者の圧迫感が強いままでは、せっかく賃上げがあっても、生活防衛のため賃金増加分の多くは貯蓄に回ってしまい、好循環が生じにくくなる。
海外の長期投資家も日本の個人消費の行方を注視
海外投資家のうちで日本株投資の経験が長い関係者の代表的な意見は以下のとおりだ。「春闘でどの程度の賃上げとなるかは注目している。だが、単に賃金の増加率が高いだけではすぐに『日本株は大いに買いだ』とは判断しない。賃上げを受けて、個人消費が大きく増えるかどうかが問題だ」。このように、海外の長期投資家は今後を慎重に見極めようとしている。
さすがの筆者も、日本経済が後退期入りするとか、内需が下に折れ曲がるなどとは、まったく見込んでいない。しかし、日本の外需も内需も冴えないという展開に陥れば、空中に浮かび上がっている足元の日本株が、はるか下に離れてしまった岩盤(株価の適正水準)に向かって、墜落すると懸念される。
さて、定期的な連載としての投稿は、今回で最後となる。これまでご愛読、ご声援くださった読者の方々には、心より御礼申し上げたい。「東洋経済オンライン」や「会社四季報オンライン」には、長年見守っていただき、深く感謝申し上げる。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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