株価の急落は景気後退を連想させがちだが、現状ではまだ正確なシグナルとは判断できない。
3日間で8000円(約20%)に達した8月初めの日経平均株価の急落で、1987年10月のアメリカ市場で起きたブラックマンデーを想起した市場参加者もいたはずだ。ブラックマンデーについては、1つの要因を特定することはできなかったが、当時のアメリカ政策当局者の間では株価暴落が「恐慌」の兆しなのではないかとの懸念が出ていたようである。「株価急落は景気後退のサイン」という漠然とした認識は、市場参加者のみならず当時も現在も変わらず持たれているだろう。
今回は日本株の下落が目立ったとはいえ、それに先んじて米国株も下落しており、アメリカの景気後退と関連づけて今回の株価下落が捉えられた面がある。実際、この数カ月間のアメリカ経済指標の中には景気の減速を示唆するものが散見されており、株式市場で材料視されていたことは間違いない。
株価下落が景気後退を意味するか単純でない
実際に株価下落は景気後退のサインになりうるのだろうか。株価と景気の関係について、アメリカの過去のパターンを見てみると、そう単純なものではないことがわかる。
アメリカの景気後退は、NBER(全米経済研究所)が公式に認定したものでは過去30年間で3回しかなく、しかも、そのうちの1回は、新型コロナ拡大直後に起きた特殊なものである。つまり、アメリカでは、景気後退はめったに起きない特殊な経済事象なのである。そこで、3~4年に1度の頻度で生じる景気の循環的なピーク・ボトムと株価がどのような関係にあるのかを見てみよう。
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