急騰している日本株が今後暴落しないか心配だ 楽観しすぎの米国株、日本経済も黄信号が点灯
マクロ経済統計ではまだ同国経済が堅調なように見えても、企業担当のアナリストは、担当企業を取材して、企業の生の声を拾っている。実際は企業の現場の従業員が「わが社の製品やサービスの売れ行きが悪い」「来店客が買い渋るようになった」「注文が減っている」といった肌感覚を持ち、それが管理職を通じて経営に上がった声を、アナリストが利益予想に反映しているのだろう。
ちなみに、今年1~3月期の増益予想値についても同様の傾向だ。昨年8月末時点から直近の1月12日までの数字を並べてみると、以下のようになる。9.4%→9.3%→8.0%→7.5%→6.7%→6.3%と、やはり下方修正の連続だ。
楽観にどっぷりつかった株価と暗雲が増す企業収益実態との乖離は大きく、結果として予想PER(株価収益率)は高い。S&P500種指数の12カ月先予想利益で算出したPERは、通常は15倍と18倍の間で推移し、そこから上下に外れた場合は行きすぎを示す。だが、1月12日時点のPERは19.6倍だ。コロナ禍直後の混乱期は別とすれば、現水準は、2018年末に向けての厳しい株価調整前の同年1月(18.8倍)や、コロナ禍直前の2020年2月(19.0倍)を上回るもので、米国株の本格調整が懸念される。
日本株も海外市場の影響を大きく受ける懸念
では、日本株はどうか。実のところ、先週の日本の株価指数の暴騰には唖然とした。先週1週間の上昇率は、日経平均株価が6.6%(約2200円幅)、TOPIX(東証株価指数)も4.2%にのぼる。こうした上昇率は、世界全体を見回すと、トルコ(4.7%)やギリシャ(3.1%)などと肩を並べるものだ。
先週の株価暴騰の正当な要因だと判断できるものは、まったく見当たらない。おそらく、とくに材料なく株価指数が上昇を始めたので、買い遅れてはいけないと慌てて買い付いた向きが株価を押し上げ、それが先物の売り方の買い戻しや、コールオプションの売り方のヘッジ買いを引き起こした、との推察が聞かれる。買った向きも、これほどの株価指数の上昇になるとは思ってもいなかっただろう。
同期間の東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)の週間上昇率は2.1%にとどまっているので、個々の有望な銘柄を調査し買い上げた結果の株価上昇というよりも、日経平均やTOPIXの株価指数先物買いや、代表的な大型銘柄のパッケージ買いなどによる押し上げだと推察される。その点でも、個々の産業・企業の実態面の改善による株価上昇ではなかったと解釈できる。
日本株の今後については、頑固で申し訳ないものの、短期株価調整シナリオを堅持しており、今年前半の日経平均の安値メドとしては、いまだに2万7000円を予想している。
前述のように、アメリカでは株価が本格的に下落すると見込むが、ドル相場も、同国の景気悪化やそれに伴う金利低下により、ドル安円高が進むと見込む。その両方が日本株の押し下げ要因となろう。
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