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ライフ #キッチンの女王と呼ばないで

職場をクビ→43歳でシェフになった女性のその後 未経験ながら香港でレストランを開いたら…

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自分がやりたいことに邁進した途端、商売も上向きになりました。また、とても幸運なことに、多くの有名シェフの方に私のレストランに来ていただきました。彼らは親切にも料理の秘密を教えてくれたのです。

中国料理には「鹵水(ローソイ)」と呼ぶ醤油や中華スパイスなどを混ぜた有名な調味液があり、これは肉などを漬けるのに使われます。あるシェフは彼のレストランで使っている鹵水の秘伝レシピ、そして、なんとタレの一部を譲ってくれたのです(鹵水は継ぎ足して使われることが多く、レシピとタレの一部を譲るというのはビジネスの秘密を教えてくれるのと同様とも言えます)。

私の料理の腕が上がっていくにつれ、香港の主要メディアの多くが取材に訪れるようになりました。例えば、私のスペシャリティである「鶏の中華風煮込み」は、香港で最も人気のあるフードマガジンの表紙を飾りました。

鶏の中華風煮込み(写真:筆者提供)

2015年には香港の英字紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』で、「香港で5本の指に入る隠れ家プライベートキッチン」と書いていただきました。CNNで「香港でトップ10に入るプライベートキッチン」と評価されたこともあります。

鯛の自家製蒜蓉豆豉醤和え(撮影:尾形文繁)

女王だけれど、「王」ではない

日本のBS-TBSも香港に来て、店の中で私にインタビューをしました。

ある有力雑誌も、私のことを「プライベートキッチンの女王」と呼びました。

しかし、女王は「王」ではありません。

私は香港で最も人気のある番組にゲストシェフとして出演しました。私は25話中で唯一の女性シェフという名誉を得たものの、他の男性シェフたちが「セレブリティシェフ」と呼ばれる一方、私の肩書は「プライベートキッチンのオーナー」でした。

男性優位の職業では、女性には地位がまったくありません。地位がある女性がいると、一部の男性によって排除されてしまいます。彼らはその女性のことを影で悪く言うのです。

もちろん、全ての男性シェフがそこまで酷いわけではありませんが、女性の心の中にはつねにある種の不快感があります。

こうした中、私は日本の食材を使って中華料理を作る研究に没頭していくのです。それについてはまた今度お話ししましょう。

この連載の初回です

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