ブルーボトルCEO、日本での全計画を語った 消費者と投資家を虜にする「完璧主義」
――タルティーンでは、日本に特化した商品も販売するのですか。
それはチャッドに聞いたほうがいいとは思うけれど、タルティーンは地元食材を使うことで知られている。実際チャッドは北海道に出向いて、地元の小麦農家やバター工場などを訪ねて色々試食している。なので、日本の素材をふんだんに使った、タルティーンのパンになると思うよ。
――ブルーボトルは昨年、2750万ドルを調達しています(その後、6月4日に新たに7000万ドルを調達)。ずいぶんな大金ですが、どうやって使うのですか。
ここの店と工場を見たらわかるでしょう(笑)
――今後、もっと会社を買収するとか。
買収した4社についても結果的にそうなっただけであって、最初から買収しようと思っていたわけではない。タルティーンにしても、パーフェクトにしても、買収できたのは、どういう風におカネを使うかについて投資家から信頼を得ていることが大きい。
――買収や提携をするうえで、重視していることは。
チーム、そして人に尽きる。毎日、毎週顔を合わせるのだから自然体で付き合えるような人たちであることが大事だ。どれだけ稼げるか、とか、どういう立地にあるか、ということは重要なことではない。たとえば、(ハンサムの)マイケルは、われわれのコーヒー作りにすばらしい影響を与えてくれているし、(パーフェクトの)ニールはウォルマート・ドット・コムを立ち上げた人物でもあるので、eコマースを熟知している。そして、チャッドは世界随一のパン職人だ。すべては誰と働きたいか、ということが基準になっている。
アップルとの共通点は、日本から影響を受けていること
――ブルーボトルはコーヒー界のアップルと呼ばれていますね。
とてもうれしいことだ。でも、どうしてそう呼ばれるんだろう・・・。確かに、余計なモノを省くこと、シンプルであることへのこだわりはある。一つ共通点があるとすれば、社名とロゴが一致する、というのはあるね。
それから、アップルには厳格な純粋さ、みたいなものがある。たとえば、iPhoneが入っている箱。iPhoneを箱から出すときのあの感覚――空気の抵抗を感じる3秒間の体験だ。あれが4秒だとイライラするし、2秒だと早すぎる。
わざとそうしているわけではないかもしれない。京都にある茶筒メーカーの「開化堂」を知っている?あの茶筒を空けるには30秒間かかる。私も前回、日本に来たときに開花堂を訪れたが、アップルもシンプルさと質の高さを追求する日本のデザイン的要素に大きく影響されていると思う。私自身も日本のデザイン文化にかなり影響を受けている。アップルはそれを世界に向けて体現していて、私たちは20店舗に向けて体現している。
――フリーマンさんは日本の喫茶店ファンということでも有名ですが、日本人で尊敬している人はいますか。
それはたくさんいるよ。日本の隅々にまで行き渡っている職人文化にとても惹かれる。開花堂のような伝統的なメーカーも好きだし、すし職人の仕事もすばらしい。ブルージーンズだろうと、コーヒーだろうと、モッツァレラチーズだろうと、日本には世界で一番すばらしい仕事をする人がいる、と色んな人に伝えているくらいだ。
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