ブルーボトルCEO、日本での全計画を語った 消費者と投資家を虜にする「完璧主義」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――ブルーボトルが自宅のガレージで誕生してから今年で13年になります。その間、店舗が増えて成長した一方で、次々とライバルも出現しています。ともすると飽きっぽい消費者の心をつかみ続けるためにどういったことをしていますか。

これ(コーヒー)に集中するしかない。このコーヒーはブラジルのFAFという農園から仕入れている。私たちはこの農園から毎年仕入れているが、彼らはつねに品質の向上や面白い取り組みに力を入れていて、私たちが仕入れる量も年々増えている。

繰り返すことでしか完璧は目指せない

これから何をしないといけないかというと、自分たちが信じてやってきていることに磨きをかけないといけない。周りが何をやっているのかを気にするのではなく、自分たちがやっていること、作っているものを改善していかないと。

たとえば、私たちのコーヒーバイヤーは今、コンゴ共和国を訪れている。入国するのも難しい国だ。コンゴには非常に興味深いコーヒー農園がたくさんある。そこでバイヤー自身が「これだ」と思うコーヒーを探し当ててくれると信じている。

――フリーマンさんは過去にクラリネット奏者として活動していました。ミュージシャンとしての経験や感性がコーヒーショップの運営に影響を与えることは。

あると思うし、それについて考えることもある。たいていの人は、クラッシック奏者というと、タキシードを着て舞台で演奏している姿しか思い浮かばないだろう。だが、それはほんの小さな一部でしかない。ほとんどの時間は、ほんの少しでもうまくなるために暗い部屋の中で同じフレーズを何回も何回も、いや、何百回も何千回も繰り返しているんだ。繰り返すことでしか完璧を目指せない。同じ事を何度も繰り返して改善を目指すことは、コーヒーにも通じる姿勢だと思う。

――ブルーボトルについても改善が続いていると思いますが、今後ももっとも改善すべき点があるとすれば何でしょうか。

もう少し早いペースで出店をしていきたい。コミュニケーションをもっと円滑に迅速にして、チームの効率性を上げればさらに早いペースでの出店が可能になると思う。それから、実際に出店する前の実験や問題を検証するスペースも欲しい。研究開発拠点はまさに建てようと考えているところで、それができれば色々なことがスムーズに進むようになる。

――マイペースに出店するのが、ブルーボトルのやり方だと思っていました。

なるほど・・・。確かにこれまではそうだった。それでも、20店舗は悪くないし、今後10店舗オープンする計画もある。進歩しているのは確かだ。たとえば、ドアを開けるときのドアノブの感触や入った瞬間に何が見えるか、ペストリーにはどんな照明があたっているのか・・・店をオープンする際には色々こだわりたいところがある。それを詰めるにはある程度の時間もかかってしまう。

――フリーマンさんはブルーボトルの大株主の一人でもありますが、株主としては満足していますか。

もちろん。夢に見ていた以上の成果だ。

(撮影:尾形文繁)

倉沢 美左 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事