シリコンバレー、他国がまねても失敗する根本理由 表面だけを見ていてはわからない深い背景

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だがシリコンバレーの存在は政府のおかげだと宣言するのは、それが稼働する自由市場の最も純粋な表現なのだと宣言するのと同じくらい、まちがった二項対立でしかない。シリコンバレーは、大きな政府の物語でもないし、自由市場の物語でもない。その両方なのだ。

アメリカ政府がハイテクに投資したという事実と同じくらい重要なのは、そのお金がどのように流れたか――間接的に、競争的に、ハイテク世界の男女に未来がどのようなものになるかを定義づける、驚くほどの自由を与えるような形で流れたかということだ。

おかげで彼らは技術的に可能なものの境界を押し広げ、その過程で大儲けもしたのだ。もっと強力なコンピュータ、人工知能のブレークスルー、インターネット――多くのノードを持つのに単一の指令センターを持たない、驚くべきコミュニケーションネットワーク――の設計の資金提供を促進して設計を形成したのは、政治家や官僚ではなく、学術的な科学者たちだったのだ。

規制緩和とハイテクに有利な税制で巨大に

政府の気前のよさは、産軍複合体を超えて広がっていた。規制緩和とハイテクに有利な税制は、コンピュータのハードウェアとソフトウェア企業やその投資家たちのためにロビイングされたものであり、彼らにきわめて有利となっていた。

そのおかげでシリコンバレーは巨大になった。研究と教育の継続的な公共投資によって、次世代のハイテクイノベーターたちが訓練と補助を受けることになった。その間ずっと、巨大な政府計画や中央化された計画に対する政治的な嫌悪が高まり、おかげで政治や軍の指導者たちはおおむね産業に口だししなかった。

何百万ドルもの連邦投資が血脈を流れていたのに、地域のハイテククラスターは時間をかけて有機的な成長を許され、政治的な狙い撃ちを受けることはほとんどなかった。

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