「宇宙船」大阪メトロ400系、普段見せない空飛ぶ姿 中央線の新型車両、急ピッチで進む搬入作業

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400系の車内設備で特徴的なのが、4号車に設けられたクロスシートだ。地下鉄車両での採用は極めて珍しいが、「万博会場へ向かうというワクワク感を演出したかった」とのこと。中央線は地上区間も多く、都会の景色はもちろん直通運転を行う近鉄の区間では緑が豊かな景色も楽しめることから、クロスシートはうってつけと言える。

「地下鉄は短距離利用のお客様が多く、2人掛けの座席だと窓側の乗り降りがしにくいことから、1人掛けの座席としました。また、座席の向きを変えられる転換クロスシートの採用も検討しましたが、そうすると扉間に設置できる座席数が3席から2席に減ってしまうため固定式としています」(西野さん)

それでも、ロングシート車両と比べると座席数は3割ほど減少。「座れない」といった意見も寄せられている一方、通路幅が広くなったことで立ち客を含めた定員数は逆に1名増えており、ラッシュ時には混雑緩和に貢献しているとも言える。

スマホに充電できる地下鉄車両

もう1つ、先頭車の一角に用意されたスマートフォンなどの充電用コンセントも、大阪メトロで初めての設備だ。

コンセントの形状はUSB-タイプAとなっているが、これは外国人観光客の利用を想定していること(電源コンセントの形状は国によって違うため、変換アダプタを持ち歩いていなければ使えない場合がある)、設計段階では鉄道車両に搭載できるUSB-タイプCのコンセントがなかったこと、などに起因しているそうだ。

大阪メトロ400系の出場
入れ換え用の機械で移動。400系は中央線延伸開業までに計23編成が導入予定(撮影:伊原薫)

延伸開業に間に合わせるべく、急ピッチで製造される400系。「我々も万全の受け入れ体制を整え、完璧な状態で車両を送り出していく」と西野さんは話す。近未来感たっぷりの新型車両がすべて出揃うまで、現場では搬入作業が慎重に続けられる。

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伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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