正念場のゴルフ場経営、拡大戦略貫くアコーディア、PGMはコスト削減を優先
ここ10年、両社は破綻ゴルフ場を次々と買収し、事業再生させて収益のアップサイドを獲得してきた。しかし、高収益が見込める買収案件が消えた今、客単価のデフレスパイラルが両社を襲っている。ただ、これは、自らが招いた“カルマ”(業)ともいえる。低価格化路線はそもそも、ゴルフのカジュアル化戦略として両社が打ち出したものだからだ。ここをどう克服するのかが、両社にとって最大の経営課題といえる。
積極路線を今も打ち出すアコーディア。毎年5~8カ所のゴルフ場を買収する一方、低採算のゴルフ場を売却して収益力の改善に努めてきた。そんな同社が考える、次の“成長レバレッジ”は、自前のゴルフ練習場の開拓だ。5月末現在で20カ所(保有17、リース等契約3)に達したが、将来的には「保有ゴルフ場数の3分の1、50カ所を目指したい」(竹生道巨社長)と気を吐く。
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練習場は同社にとって単にゴルフ場への送客拠点ではなく、ゴルフスクールや用品販売などの総合サービス体制の拠点という位置づけだ。たとえば、試打クラブを決めるのも練習場→ゴルフ場→練習場と進むため、量販店での手順(量販店→練習場→ゴルフ場→量販店)と比べて、購買決定経路が短くて済むという。
また、練習場は収益力も高い。同社保有の17カ所のEBITDAマージン(償却前営業利益率)は前期末で39・9%。スクール受講者も1年で9万人に倍増した。
日本全国には練習場が3602カ所(2010年)あるが、ピーク時から減少したことで、1施設当たりの来場者数が05年から6年連続で増えている。中小資本が大半で、新規参入が少ないことも利点だ。
今後はバブル期に開発された練習場がリニューアル時期を迎えるため、同社では住宅地やゴルフ場の近隣で、リースなどの受託練習場も増やす意向。そんな「攻め」のアコーディアに対し、PGMはいわば「守り」優先の経営を打ち出している。