金融庁が損害保険大手4社に対し業務改善命令 企業・団体向け保険で保険料調整など違反行為

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大手4社によるカルテル行為が、10年以上の長期に及んでいるものもあることから、金融庁は報告徴求命令と並行して各社に任意でのヒアリングも実施。新たな疑義が発生した契約の内容に加え、1998年の保険料率の自由化までさかのぼって大手企業との現在までの取引状況や営業活動の実態を詳細に報告させていた。

業務停止などの重い処分をまぬかれたのはなぜか

4社によるカルテル行為の組織性、悪質性、反復性を踏まえると、一部業務停止などの重い処分も当初は想定された。しかし、ふたを開けてみれば業務改善命令にとどまった。その理由は大きく2つある。

1つ目は、業務停止にすると契約者の利益を損なう可能性が大きいこと。大手4社が業界シェアの8割超を握る寡占状態にあって、仮に共同保険の引き受けを一定期間停止させると、ほかに引き受ける損保が現れず契約更改できない企業が続出する可能性があった。

2つ目は、カルテル行為が現時点では疑義にとどまっていること。東急グループ向けの共同保険をはじめとして、保険料の事前調整行為などがカルテルや談合にあたるかどうか、実際に判定するのは金融庁ではなく独禁法を所管する公正取引委員会だ。公取委が損保各社に立ち入り検査に入ったのは12月19日で、公取委による排除措置命令や課徴金処分が下されるまで時間がかかる可能性がある。

だが12月以降、カルテル行為の対象となった東急向けなど複数の契約が更改時期を迎え、損保各社はすでに交渉に入っている。金融庁としては早期に業務改善命令を出し、大手4社による再発防止の取り組みを加速させることを優先するべきと判断したわけだ。

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