「ヤバい温暖化」に本気で挑む23歳化学者の生き方 10歳からはじめた研究活動はもうすぐ14年目

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祖父と手作りした「二酸化炭素吸収装置」で特許取得

「結果的に、二酸化炭素吸収装置の実験は大成功しました。北杜市立甲陵高校2年生のときには、ぼくを化学者として成長させてくれた先生方のおかげで、この発明が総務省『異能vation』プログラムの破壊的な挑戦部門に採択され、高校3年生の夏休みに祖父と21台手作りして特許も取得しました」

ひやっしー第4世代

その名は「ひやっしー」。テレビでも多数紹介されたこの愛嬌たっぷりのマシーンをご存じの人もいるだろう。ひやっしーが空気を吸い込むと、二酸化炭素を回収するアルカリ性液体を含むカートリッジを通った二酸化炭素がフィルターに溶け込み、残りの空気は外に排出される。あとは二酸化炭素がたまったカートリッジを交換するだけ。誰でもボタンひとつで操作できるCO₂回収マシーンだ。

「最新のひやっしー第4世代は、見た目はゆるふわ、中身は最先端です。二酸化炭素回収装置としては世界最小サイズです。吸い込んだ二酸化炭素の60〜84%を回収できるので、一日中稼働すると部屋中に森や草原が広がっているのと同じくらい二酸化炭素吸収効果があるんです」

ひやっしー開発に成功した高校時代

第1世代の販売から3年が経った今、「ひやっしー」は北海道から九州までさまざまな場所で二酸化炭素を吸い込んでいる。主な購入先は、大手自動車メーカーや大手化粧品会社などSDGsに取り組んでいる企業や個人病院、私立の学校や塾などの教育機関、地域のコミュニティセンターなど。二酸化炭素は人の集中力を落とすことが科学的に証明されているため、リモートワークをしている会社員や受験生がいる家庭での個人利用者も増えているという。

「でも、ひやっしーが仮に世界中の家庭やオフィスに普及しても、地球上の二酸化炭素をすべて集めることはできません。そこで、1台で年間30トンほど二酸化炭素を回収できる産業用の『ひやっしーパパ』も開発中です。もうすぐ1号機を印刷工場に収めるところです。印刷工場ってものすごい量の二酸化炭素を出していて、多いところでは1日2トンくらい二酸化炭素を排出しているんですよ」

雑誌や書籍の仕事をしているライターとしては耳が痛い。だが、二酸化炭素排出量が多い産業のトップ5は1位:鉄鋼業、2位:化学工業、3位:窯業・土石製品製造業、4位:石油・石炭製品製造業で、続く5位がパルプ・紙・紙加工品製造業だ。ひやっしーパパは数千万円、維持費は年間300万円ほどと、数億円以上する既存のDAC装置と比較するとかなり安く導入できる。全世界で二酸化炭素排出量の多い産業にひやっしーパパ設置を義務付け、国が補助金を出すなどすれば、地球温暖化は止められるだろう
(※環境省「2021年度(令和3年度)温室効果ガス排出量(確報値)について」)。

「まさに温暖化自体はひやっしーパパで食い止める流れを考えています。ただ今はまだ、ひやっしーだけでも生産が追いつかなくて、納品まで4カ月以上お待ちいただいている状況なんです。だから生産ロット数をもっと拡大しようとがんばっているところです。

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