ドラッグ再編のカギは「2代目」への世代交代だ ウエルシア社長が語る「売上3兆円」までの道筋
――九州ではイオン九州と合弁企業をつくり、生鮮など食品の品ぞろえを拡充した業態「ウエルシアプラス」を出店しました。
(イオンリテールやイトーヨーカ堂など)「フード&ドラッグ」として、既存のスーパーにドラッグをくっつける戦略を採る企業もあるが、成功例は極めて少ないと思っている。
スーパーはドラッグストアと違い、業務がカテゴリーごとの縦割りで分かれているため、そこにドラッグを足しても同じだけコストがかかってしまい非効率だ。重要なのは縦割りの少ないドラッグストアのオペレーションの中で、食品も管理できるようにすること。
通常店でも一部食品を取り扱うことはあるが、ドラッグストアとスーパーでは鮮度管理のレベルがまるで違う。スーパーの水準に到達することは不可能。そのうえ食品スーパーはオーバーストアの中で努力しており、どんどん進化している。
ウエルシアプラスは通常店で出すよりも2割ほど高い売上高を実現できており、この点では成功といえる。ただオペレーション上の課題は多いため、早く新しいスタイルを構築していきたい。
ウエルシアは利便性が第一
――九州は「毎日安売り」に定評がある業界4位のコスモス薬品が600店舗以上展開する牙城です。勝算はありますか?
コスモス薬品は生鮮食品に注力せず、オペレーションコストを抑えた運営が上手い。ヘルスの領域も非常に教育のレベルが高く、店舗に行くと必ず店員がやってきて商品を説明してくれる。ただ大きな土地が必要なので、都市部での展開は難しいのかもしれない。
一方、われわれは利便性を第一に掲げている。今後は価格の面をもう少し打ち出していきたい。スケールメリットを活かして、より安く提供していく。食品については、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」が非常に評価されているので、これを多く取り入れながら総合的に商品を提供していく。
――化粧品など好採算な商材を持つドラッグストアの方が、スーパーよりも安く食品を販売でき、有利だといわれていますが。
先日、アメリカ西海岸を視察して実感したのが、「アメリカのドラッグストアはこんなに弱くなったのか」ということだ。ビューティーやヘルスは強いが、雑貨や食品分野ではトレーダー・ジョーズなどほかのスーパーに客を取られてしまっている。
完全な「カテゴリー負け」状態だ。日本でもこの状況を放置すれば、いずれアメリカのドラッグストアのようになってしまうのではないか。そういう危機感を持っている。