ドラッグ再編のカギは「2代目」への世代交代だ ウエルシア社長が語る「売上3兆円」までの道筋

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――イオンが13%超出資するツルハHDですが、今年の株主総会でファンドから経営陣交代の株主提案を受けました。結果は否決でしたが、大手も含む業界再編についてはどう考えていますか。

ドラッグストアにはオーナー家が多いため、(ファンドから)ガバナンスの問題を突かれる隙があるのだろう。

まつもと・ただひさ 1958年生まれ。1983年北陸大学薬学部卒業後、サンドラッグ入社。1991年いいの(現ウエルシア薬局)入社、2014年ウエルシア薬局取締役副社長。2019年3月から現職(撮影:尾形文繁)

まだまだドラッグストアは他の流通業界に比べて歴史が浅い。現在、ドラッグストアでは世代交代が進んでおり、これが再編を後押しするだろう。(創業者である)初代社長は、とにかく会社を大きくするために一生懸命やってきた。一方、2代目は「どんな価値を提供できる会社にしていきたいか」という、規模拡大以外の面を重視する傾向が先代よりも強い。

「どんな店を目指したいのか」が一致すると非常に組みやすくなるし、これがガッチリはまれば大きな再編が起こるのではないか。

登録販売者の採用・育成が課題

――ツルハHDの経営陣とは、定期的にコミュニケーションを取っているのですか?

(イオン、ウエルシアHD、ツルハHDやクスリのアオキホールディングスなどが医薬品のプライベートブランド共有などを行う)ハピコムのメンバーである各社は、3カ月に1回集まって、商品や薬剤師の教育などに関する情報交換をしている。

共通する課題の1つが、登録販売者の採用・育成だ。登録販売者の資格は、試験に合格し一定の要件を満たせば取得できるが、知識や経験が浅いと、風邪薬の成分の違いすら答えられない。結果、お客さんのことを怖がってしまい、十分な接客ができなくなってしまう。私もハピコムの会議に参加し、各社の社長とこうした業界の課題について話し合っている。

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