路面電車でも深刻化「運転士不足」処方箋あるのか 入社して免許取得後に同業に転職する事例も

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高知県のとさでん交通も同年11月から当面の間、平日ダイヤを一部減便して運行している。やはり、運転士不足を理由に挙げており、平日は609便の運行をしてきたが、現在は580便まで減便している。

減便の事情に関して、とさでん交通の担当者に話を聞いた。同社によると、「運転士不足が目立つようになってきたのは、5年くらい前から。徐々に人員不足となり、時間外にて対応している」という。

今までは運転士の時間外(残業)を行うことで対応し、運行管理部門の免許保有者(事務系職員等)によって、ラッシュ時間帯の応援を実施、および貸切電車の運行に対応し、人員を補ってきた。「運転士の負担を軽減するために、現在も継続中」とのことだ。今後も運転士1人ひとりの負担軽減を目的に、事務系職員等の免許保有者による運行を続けていく。

2016年からは、新たに高校新卒者の採用も開始している。ただし、「免許取得年齢の20歳に到達するまでは、技術・営業関係の部署での勤務を行う」という。中途採用においては、20歳以上であれば、上限なしで受験が可能である。

2〜3年在籍後、同業他社などに転職

筆者は「電車の運転士」という職種が、なぜ人材集めにここまで苦労するのかと疑問だった。その疑問に担当者は、「近年、人口減少と少子高齢化により地元出身者の応募が少なく、採用している運転士の半分が県外出身者。その中のほとんどが2〜3年在籍後、地元に戻り、同業他社やほかの職種に転職してしまう。採用と退職のバランスが崩れ、人員不足に陥っている」と説明する。免許を取得して、地元やほかの事業者に転職していってしまう。地方交通ならではの事情のようであった。

また、長崎電気軌道でも2023年5月15日から、運転士不足から路面電車の減便を行っている。福井県の福井鉄道でも同様の理由で、同年10月14日のダイヤ改正から減便を行っている。福井鉄道では正常通りのダイヤで運行するためには、28人の運転士が必要だが、10月の時点で必要人数を大きく下回っている。

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