日本の自動車産業を左右するダイハツの失地回復 過去の自動車業界の不祥事との比較から読み解く

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2018年 自動車部品大手の曙ブレーキ工業がブレーキとその部品の品質検査データの改ざんなど11万件の不正行為があったと発表
2022年 日野自動車、エンジンの排出ガスや燃費の不正問題が発覚
2023年 中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求問題
デンソー製燃料ポンプ搭載車の事故で大規模リコール

こうした問題が起きる背景には、自動車業界の特殊事情もある。

自動車は、安全性が極めて重要となる商品であるだけに、厳しい規制が課されている。自動車業界はグローバルでの熾烈な競争下にあるが、企業として効率を追求していくと、どうしてもコストのかかる部分とのトレードオフの問題が生じる。

一方で、自動車は高度技術の“かたまり”である。漏れなく検査することは非常に手間がかかるし、不具合をゼロにすることは実質的には不可能である。

自動車業界ではリコール(不具合による回収・無償修理)問題はよく起きているが、不具合が適正に報告され、対処が行われているわけだから、リコール自体を批判すべきことではない。

問題なのは、安全性の担保を軽視するような行為が行われてしまうこと、さらにはその行為を看過する組織構造が温存されてしまうことである。

(撮影:尾形文繁)

ダイハツの不正問題の背景には、タイトな開発スケジュールの中で、担当者がプレッシャーにさらされていたことがあったとされている。

過去の不正を見ても、同様の要因が指摘されているケースは多く、ダイハツに限らず、自動車業界における構造的な問題であると見ることもできる。

不正を行った企業でも、その後の明暗は分かれる

自動車業界で不祥事を行った企業のその後はどうなっているのだろうか。

最も不本意な末路をたどったのが、タカタである。同社のエアバッグの異常破裂により、アメリカなどで少なくとも17名の死者が出たとされる。その一方で、経営者は責任逃れに始終した。ステークホルダーからの支援も得られず、負債総額1兆7000億円を抱え、経営破綻した。

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