暴飲暴食後の激痛、怖いのは肝臓より膵臓の病気 男性に多い「急性膵炎」、特に40~60代は注意

✎ 1〜 ✎ 94 ✎ 95 ✎ 96 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

急性膵炎の治療では特に痛みのコントロールが重要で、順調に経過すれば1〜2週間で退院できることが多い。

しかし、入院がそれ以上に長引くケースもある。急性膵炎が恐ろしいのは、患者の20%で重症化してしまうことだ。その場合、1〜2カ月の入院が必要になる。

重症の急性膵炎とは、肝臓や腎臓などの臓器が機能不全となったもの、敗血症など重症の感染症を併発してしまったものをいう。

「命にかかわるリスクが高く、輸液管理や栄養管理、臓器不全対策、感染予防などの治療が必要。集中治療室で治療することもめずらしくありません。さらに重症急性膵炎の後、壊死した膵臓に感染が起こってしまうと、内視鏡を用いた治療や手術が必要となることもあります」(正宗さん)

前述した全国疫学調査では、2011年には10.1%だった重症急性膵炎の致命率が、2016年には6.1%にまで下がっている。「これは初期治療が奏功している結果と考えられます。ただ、発症2週間以降の致命率は改善しておらず、今後の課題です」と正宗さんは話す。

「一度にたくさん」飲酒がリスク

では、急性膵炎を予防するには、どうしたらいいのだろうか。

まずは、お酒を飲み過ぎないことが大切といえそうだ。昔、お酒は『百薬の長』といわれていたが、今では少量でも、膵炎に限らず、さまざまな病気の引き金になることがわかっている。

でも、実際のところ、「まったくお酒を飲まないのは難しい」という人もいるだろう。

「お酒を飲み過ぎたからといって、必ずしも急性膵炎になるわけではありません。しかし、節度のある飲酒を心がける必要があります。1日当たり純アルコール40g以上の摂取で、急性膵炎の発症リスクが3倍以上になるとされています。また、たまにお酒を飲む人が一度に大量に飲んだ場合も、急性膵炎を発症するリスクは上がるので気をつけてください」(正宗さん)

女性やアルコールを分解する代謝酵素の働きが弱い人は、1日に純アルコール20g程度でもリスクがあるともいわれている。より少ない量でも注意が必要だ。

暴飲だけでなく、暴食にも要注意だ。中性脂肪の値が高くなると、大量の遊離脂肪酸が膵臓の毛細血管や細胞にダメージを与えるため、急性膵炎になるリスクが高まる。喫煙もリスク因子の1つで、禁煙が勧められる。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事