急性膵炎の激しい痛みは、どうして起こるのだろうか。それを理解するためには、まず膵臓について知る必要がある。
膵臓は、胃の後ろにある12〜15cmほどの臓器。主に外分泌と内分泌の2つの役割を果たす。外分泌とは、消化液の膵液を分泌し、膵管を通して十二指腸へと送り込み、食べ物を溶かす働きのこと。内分泌とは、インスリンなどのホルモンを分泌して血糖値などを一定に保つ働きのことだ。
「通常、膵液は十二指腸に送り出されてから活性化し、食べたものを消化・吸収できるように溶かします。ところが、急性膵炎では膵臓の中で膵液が活性化してしまい、膵臓自体を溶かしてしまうのです。これを『自己消化』といいます」(正宗さん)
膵液には、糖質を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素などが含まれている。これらによって膵臓自体が溶けることで、激しい痛みが引き起こされるのだ。
原因の多くはアルコールか胆石
急性膵炎の原因には、アルコールや胆石のほか、原因がわからない特発性が挙げられる。男性の場合はアルコール性が多く、女性の場合は胆石性が多い。胆石性は、女性のほうが男性の2倍である。
なぜアルコールや胆石が急性膵炎の原因になるのか。正宗さんは次のように解説する。
「アルコールの場合、膵臓内の血流が変わったり、アルコールを分解してできたアセトアルデヒドなどの代謝産物による膵臓へのダメージ、また膵管の出口が閉まったりすることなどで、膵炎が起こると考えられています。一方、胆石の場合は、膵管と胆管の出口が一緒になっているため、そこに胆石がつまることによって膵液の流れが悪くなり、膵炎が起こります」(正宗さん)
急性膵炎になったら、入院治療が必要になる。
「まずは膵臓を休ませるために絶食とします。同時に、炎症によって膵臓をはじめ、全身の血管から大量の水分が出ていってしまうので、点滴を十分に行って水分や電解質を補い、痛みを抑えるために鎮痛薬を投与します」(正宗さん)
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